18 天の川のほとり
天の川のほとり
……私、決めました。あなたとずっと、一緒に生きていこうって、そう心に決めたんです。
五月の長い連休のある一日。
みんなで天体観測に出かける予定の日。
その日は、奇跡的に晴天となった。
その前まで、そして天気予報によると、明日、明後日くらいからしばらくしてまた、天気が悪くなるということだったけど、天の川流星群を一番よく観測できる日は、ちゃんと晴れになった。
雨はそれがすごく(水瀬くんへの告白のことを抜きにしても)嬉しかった。
雨は窓のところにぶら下げていたてるてる坊主をとって、それを勉強机の上に置いた。
「雨。みんなきてるよ」
ノックのあと、ドアが開いて雪が言った。
「わかった」
すでに準備を終えていた雨は荷物を持って、部屋を出て行った。
神社の境内に出ると、そこには朝見先生がいた。
「あ、遠野さん。こっち、こっち」
朝見先生は雨のお父さんとなにかの話をしているようだった。
「あ、はい」
雨はそう返事をして、朝見先生のところまで移動した。
「こんばんは。朝見先生」
「こんばんは。遠野さん」
にっこりと笑って朝見先生が言った。
「あの、朝見先生。みんなは?」
雨は言う。
「階段のしたのところにいるよ。私の車がそこの近くに止まっているんだ」
「雨。気をつけてね。朝見先生。雨とみんなを宜しくお願いします」
雨のお父さんがそう言った。
「わかりました。任せてください」
朝美先生が言う。
「じゃあ、行こうか、雨ちゃん」
「はい」
雨はそう返事をして、雨のお父さんに「行ってきます」を言ってから、二人は一緒に長い石階段を下りて、遠野神社の赤い鳥居のところまで移動した。
その道中、雨が上を見上げると、空には本当にたくさんの美しい星々が輝いていた。
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