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 あんまり乗り気ではなかった雨だったけど、話し合いは始まってみると、結構楽しいものだった。

「流星群?」

 雨は言った。

「そう。天の川流星群。時期的に絶対に見られるよ。それも今年はかなりの好条件が揃っているんだ」と嬉しそうな顔で森川くんはそう言った。

「森川くんはさ、昔から星が大好きなんだよ。ね?」瞳は言う。

「もちろん」森川くんは笑顔で答える。

「へー。そうなんだ」雨は言う。

 この二人は幼馴染の間柄の関係だった。相変わらず、とても仲がいい。昔、愛が「あなたたち、いっそ付き合っちゃえば?」と冗談で言っていたことがあったが、雨にも二人はとてもお似合いの関係に見えた。でも二人は「絶対にやだ」と声を揃えて言っていた。

「凪もそれでいいよね?」森川くんが言う。

「別にそれでいいよ」東山くんは言う。

 それから東山くんは窓の外に降る雨にぼんやりとした視線を向けた。その雰囲気がなんだか水瀬くんと少しだけ似てる、と雨は思った。


 集合時間。集合場所。星を見る時刻。持ってくる荷物。それぞれの実家の親の説得(学校の許可はもう天文部でもらっている)。そんなことが約一時間の話し合いで決まり、それから少しの雑談になった。

「天文部って部員、二人だけなんですか?」雨は聞く。

「いや、五人いないと部にならないから、一応、あと三人いるんだけど、それはただ名前を貸してもらっているだけなんだ。だから、まあきちんと部員をしているのは二人だけかな」森川くんは言う。

「もしかして遠野さん。部員になってくれたりするの?」森川くんは少し身を乗り出して言う。

「あ、いや。……そういうわけじゃ、ないんだけど」

 遠慮がちに雨は言う。

「なんだ。そうか」森川くんは言う。それから黙って瞳を見る。

「振られたね」瞳は言う。

「うるさいな」森川くんは言う。それから森川くんは両手を上げて、お手上げのポーズを東山くんにした。東山くんはそんな森川くんに、ただ小さくにっこりと微笑んだだけだった。

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