僕の異世界召還は内気な女の子と冒険します。
赤ずきん
第1話異世界召還
おそらく召還された。
唐突な出来事に頭がついていかない。
あたりは薄暗くどこかの路地のようだ、先ほどから正面を横切る人は獣人(?)のようだ
本で読んだ知識、アニメの知識
それらが眼前にある。
「うわー......なんだこれ.....」
どう考えても自分がいた世界ではない
(あー、これが......)
「異世界召還ってやつか!!!」
とりあえず大通りへ出る。
レンガ造りの家が立ち並び、道際に露店が見える。
往来する人々は多種多様で
けものの耳を持つ者、角が生えている者、耳が細長い者、背丈は園児に近いが明らかな知性を持つ者がい る。
「おう、兄ちゃん邪魔だよ」
野太い声に遠くなった意識が呼び戻される。
「あ、ごめんなさい」
角の生えた大男は軽く俺の身なりを一瞥するとスッと一番近い露店の中に入ってしまった。
(日本語が通じるのか)
異世界で一番困りそうな言語の壁は突破したようだ。
唐突な異世界召還はこうして現実味を帯びていく......
とりあえず歩こう。
そう思い立つまで5分はかかった。
理由などなく、一人の女性が目に入りなんとなく同じ方向を目指した。
「おいこらァ!!あり金を渡せって言ってんだよ!!!」
「だ、だから、い、いまは一銭もなくてぇ......」
「はぁ???お前ふざけてるのか???
この世に一銭も持ち合わせてないのは死人だけなんだよ!!!」
「ぅええ...そういわれてもぉ。な、ないものはなくてぇ...」
「上等だな人売りにでも流しちまうぞ!!ア???」
「う、売れないですし。こ、こわいですよぉ......」
(うわーはじめてみたけど普通に怖いな)
怒号を飛ばす成人男性をみれば誰もが抱く感情
(関わりたくないなぁ......)
聞こえてはいる町の人も素通り、日常茶飯事であることが伺える。
異世界にきただけで、自分はヒーローになったわけでも特別な力を得たわけでもない。
悲しい現実
見捨てるのが正解
正義の心など幼稚園で蟻を踏み潰したときに一緒に潰した
五体満足でいたいのだ
(さよなら見知らぬ少女、たぶんヒーローは遅れてやってくる。
信じ続ける心が大事なのだ。
例え今くじけようと信じてさえいれば、いつかまたきっと笑える日が来る。)
横切ろうとした路地を横目で見た
少年の心は決まっていた。
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