第3話晴れやかな朝

頭が痛む


うまく回らない




「いってぇ....」




無意識に言葉を発する


少しずつ意識がはっきりしていく中で痛みの原因が頭にあることに気づく




「....」




殴られたのだろう


どう殴られたのかも覚えていない


しかし重要なのはそこではない、目が見えないのだ




正確には顔に何かが巻かれ光を奪っている


乱暴な男たちは僕の小さな自信だけでなく視界も粗末に扱ってくれる




「あ、あのぉ...だ、だいじょうぶでしょうか???」


「え?」


「あ、あの。あ、あなたはどうしてここに......」


「あー。あははは...君を助けられたらと思ったんだけど。ふがいなくてね、このざまだよ」




言葉が途切れる


(まぁかける言葉は見つからないだろう)


(勝手に助けようとして勝手に捕まって...)




「ほ、ほらぁ!!!大丈夫なんですよ!!!」


「まぁたしかにそうですね。今のところは。」


「いや...まぁそうだけど...」


「わたしが言っているのは奇妙だということです。意味の見えない行動、ハッキリ言って頭がおかしいです。」


「う、うん...」




おそらく正面で会話が繰り広げられている、しかし内容が理解できない


助けようとした少女の声は覚えているが親しげに話している声の持ち主は誰だ。




「で、でも善意で!!...来てくれた...かも...しれなくてぇ...」


「それでは話になりませんよ。可能性など逃げ道でしかありません。」


「む、むぅ」


「まぁそういうことで殺しましょう。」


「ええええええええええ!!!!!まてまてまて!!!!!!!!」




知らない間に議論は決し死刑が確定していた。




「うわわっわぁぁぁ...」


「こっこいつ!!!ニーア様にっ!......ぶっ殺す。」


「ごめん頼むまって!!結論を急ぐな早い!まだ早い!」


「遅いくらいだ死ね」


「ちょっとくらいぃ...は、話聞こう?ね、モガミぃ」


「まっ、まぁ!きいてやらんこともないですな///」




(危なかったぁ、少女の仲裁がなければ完全に死んでいた)


どうやら大きくはない部屋に少女と正体不明の女がいる。


そもそも男共はどうした、なぜ少女は無事そうなのか、わからない事だらけだ。




「ここはどこでしょう」




「答える必要はないな。」




「襲ってきた男たちは」




「埋めた」




一問一答。




「えーと、助けていただいてありがとうございます」




「花畑か」




「縄を「無理だ」




「じゃあせめて目「無理だ」




(おうふ、冷たすぎるよ。くい気味過ぎて怖いよ)




「お嬢の寛大なお心で貴様はここに入れているんだ。自覚しろカス。」




「あはは、あのぉ僕は死ぬのでしょうか」




「そうだ。」


「ち、ちがうでしょぉ...」




情けない少女の声


どうやら味方をしてくれている。かわいい


警戒を解くのが最優先だな




「僕は敵じゃない」




「根拠は。」




「武器とかないですし」




カァン   金属音が響く




やっちまってるわ


セーブポイントまで戻らないとだな




「い、いや彼女を助けようと思いましてね。素手では難しいモノがありましてね」




「.......はぁ」




「自分、体術とか全然「ちがう」




「敵ではない根拠だ」




終わったって。


敵なのが確定してる流れだよね


(敵だという証明は簡単だけど、味方だという証明って不可能きわめてません?)


学校の先生も言ってた言い訳はよくない


ちゃんと謝ればいいのだと、謝罪の気持ち誠意が大事だと




「すみません。命だけは殺すのだけは勘弁してください。」


「ハッ!知ったことか。悪党にかけやる情けなど持ち合わせ取らんわ


だいたい何のためにこんな訳のわからんことを、お嬢を惑わせよって」




「カスが」と言われた。最後の言葉は冷たく、重みは部屋の空気だけでなく心までも蝕んできた。




「では、こちらの番だ」


「え......」


「貴様は何者なのか」


「え?」


「仲間のために白を切る覚悟は認めてやろう」


「いやいや!ほんと何のことですか!」


「くだらん問答には付き合えん、行きましょう。」


「え、え、でもぉ」


「情けはかける相手を間違ってはいけません。」


「ぇぇ.......」




少女の小さな抵抗を最後に部屋から音は消えた。








えええええええええええええええええええええええええ


もう神に祈っとくわ!!!


異世界さいっこう!!!!!!




外から元気な鳥の声がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る