第四百七十五話 三姉妹の絆編 その二十三 ✟
少しずつ所内を警戒しながら歩く。
すると……早速何かが吾を感知したようだ。
「……江……代さん?」
「……スタ子か」
「どうしたんですか? こんな時間に……」
「……」
吾は慎重にスタ子の様子を見る。
友とは言え、こやつも恋の作った機械。
吾の目的が知られれば、すぐに殺しに来るやも知れない。
「吾は先程、門を警報システムごと破壊して入った……その意味が分かるな?」
「え……?」
動揺するスタ子。
「吾は貴様を作りし者に勝負を挑みに来た……通さぬと言うなら、この魔剣の餌食になるが良い……」
少しばかり殺意を込めて、吾は言霊を紡ぐ。
「ちょっ……ちょっと待ってください! いきなりどうしたんですか? いつもの芝居にしても、ちょっとやり過ぎな気がします……」
「もし間違いなら謝ろう」
「謝って済む問題では
「もし吾の考えが正しければ、先に謝っても済まぬ事をやらかしたのは貴様らの方だ」
「どういう……事ですか?」
「貴様と同等の性能のロボットに、貧乳の銃士とその友が襲撃された。吾が現れ、この剣で撃破出来たから良かったものの……もしそうでなければ」
「待ってください!」
「この話は貴様にするより、恐らくあやつに聞く方が早い。すまぬが、抵抗する気がないのなら潔く通して欲しい」
「出来ません!」
「そこまで頑ななのは……貴様にもやましいことがあるからなのか?」
「……ッ!」
「動揺か……ロボットもするのだな……」
真偽はどうであれ、スタ子に通す意思は見えない。
吾は剣を構え、魔法発動の体勢に入る。
「あら、まさか初じゃなくて貴女が来るとはね……江代」
いつもの惚けたような表情ではない……整った顔を悪女らしく歪ませた恋が悪役のように現れた。
※※※
「ふっ……その登場は悪役の真似か? にしては随分御粗末だな……あのやり方では貴様が悪役だと登場前から白状しているようなものだ」
「そうね。この世界だとすぐに正体がバレてしまってつまらないわ……。本当にゲームやアニメみたいに、悪役や正義の味方がちゃんとしている世界なら良かったのに」
呆れた顔をする恋。
「ふっ、世界に退屈する感情……それは吾も理解出来る。だが問題はそこではない。貴様が犯した禁忌はそんな言い訳で片づけられる事ではないのだからな」
眼を窄めて、恋を見る。
「禁忌? ああ……だって仕方ないじゃない。あの子……上杉心美は私の娘だもの」
「娘?」
「正確には、私の細胞を改造して作り出した人造人間……という所ね」
こやつ……狩野恋は既に神の領域に手を出したらしい。
「ふっ、ホムンクルスを作るのですら貴様には造作もないというのか」
「私がただのホムンクルスなんて作るわけないじゃない……より正確には、超能力を持った進化した人類を作る計画よ」
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