第四百二十五話 偽教師を守れ その一

 

 そして予想通り、悲劇の前ぶりがテレビにて放映されてしまった。

 

『朝のニュースです。滋賀県某市で教員職の成人女性が行方不明です』

「あ、こりゃマズいわね。私は別に警察来ても自分で何とか出来るけど」

 

 お前は前科あり過ぎるから単独で捕まれ。

 

『関係者全員が失踪当日の日を全く覚えていない……などと供述しており、警察は調査を更に進めています』

 

「……」

 

 プルルルル♪

 

『なんだ初?』

「何も言わずに今から家に来い」

『いや今学校に

「早くしろ」

 

※※※

 

「ったく……どういうつもりだ?」

「聞け藍田」

「おう」

「お前今の状態で学校行ったら捕まるぞ」

「……」

 

 いや何でズボン脱いだ?

 

「いや無意識に息子が暴走してないか確認を」

 

 分かるだろ普通。

 まあ性欲魔獣だから仕方ねえ。

 

「そうじゃなくてな」

「なんだよ」

「実はスタ子が壊れて

「こいつが壊したわ」

「細かい所は良いんだよ」

「……ゑ?」

「まあ動きはするんだが、洗脳装置が復旧に時間掛かるから今行ったら確実に捕まるぞ」

「は!?」

 

 イヤーアイダクンニハスマナイコトヲシタヨ。

 

「いや心から思ってないよなそれ」

 

※※※

 

「そんな事よりどうすんだよ! これじゃ暫く収入が!」

 

 収入どころか振込のログとかまで調べられたらお前が偽教師だってバレるぞ。

 

「どちらにしろ捕まるじゃねえか!」

「そう。どちらにしろ捕まるお前にダメ元で頼みがある」

「なんだ? 言うだけならタダにしてやる」

「捕まっても私が共犯者だというのは絶対に話すな。あと二章から彼女の家破壊したり病院のデータベースに侵入したりしたのも……全部話すな。分かっ

「断る」

 

 知ってた。

 お前がどうしようもなく自己中で、腹いせに人を地獄に叩き落とす性格なのは知ってた。

 

「罪を犯したら罰を受ける。それが社会のルールだ」

「お前が言うな」

 

 少なくとも主犯格はお前だ。

 

「犯罪に加担した時点でお前も犯罪者だ」

 

 ……言い返せねえのが辛え。

 

※※※

 

「てかこれからどうすんの? 今は別に報道されてないけどこのままじゃ確実に

『番組の途中ですが、臨時ニュースです』

「?」

『滋賀県某市の女性失踪事件ですが、それに関わる重大な事実が明らかになりました』

 

 ゴクリ……。

 

『実は前まで偽教師がいた気がしますわ。あとは確かその教師拉致されたとかなんとか』

 

 美咲テメエ! あとで殺すからな!?

 

『またこの証言から男性の名前が書かれた紙が見つかり、警察はその男性……「藍田 白世」容疑者(23)を指名手配したとの事です』

 

 ……。

 

「初」

「なんだ?」

 

 プツン。

 

「今から俺とヤってくれ」

「逃げるぞこの野郎」

 

 全くとんでもない爆弾を持ってきてくれたな美咲。

 

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