第四百一話 藍田の苦悩 その十


「次和泉」

 

 お、もしかしてここで和泉の下の名前が分かるんじゃ……。

 

「和泉だよ。初ちゃんの友達」

 

 聞けなかったあ!

 

「下の名前は?」

「……次美咲ちゃんだっけ?」

 

 いや何で!?

 何で頑なに答えたくないの!?

 

「恥ずかしいよ……」

「下の名前だぞ!?」

 

 何でそんな答えるのを躊躇う必要があるのか分からん……。

 

「下の名前……おま

「違ああああああう!!」

 

※※※(カット!)

 

「主人公権限でカットさせてもらった」

「?」

 

 和泉は自分が爆弾を投下しようとした事に気付いてないらしい。

 まあ……良いか。

 

「結局聞けずじまいか……」

 

 浅井三姉妹の永遠の謎になりそうだな。

 最終章とかで名乗ったりしないかな……江代じゃないから無理か。

 

「江代ちゃんよく名乗るの?」

「和泉には分からない世界だから良いよ」

 

※※※

 

「最後は美咲か」

 

 正直こいつが一番どうでも良い。

 

「は!?」

「大体お前は隠してる事が無さ過ぎてもう残り使えそうなネタが少ねえんだよ。読者も退屈だろうからとっととしめろ。な?」

「……良いですわ」

 

 お、ついに言う事を。

 

「初さんにも見せた事ないくらいの凄まじい自己紹介をしますわ!」

 

 期待した私が馬鹿だった。

 

「私は六角美咲ですわ」

「口調が安定しない事で有名な

「今は安定してますわ!」

「ホントかなあ……?」

 

 ワク〇クさんがこれから作るものくらい心配だ。

 

「懐かしいネタ拾ってきたな。ゴ〇リ君」

 

※※※

 

「まだまだいきますわよ!」

「おー、いけいけー!」

 

 終われ終われ~!

 

「誕生日は四月十九日。特技は爆薬作り、声優は沢〇みゆきが良いですわ」

 

 二番目も気になるけど、三番目に関してはほぼお前の願望だろ。

 そしてお前にみゆきちは金の無駄遣いだ。

 

「ほーほーほー。将来の夢とかはあるか?」

「将来の夢は……

 

 ごくり……。

 

「初さんを死に追いやる事ですわ」

 

 知ってた。

 

「えっと他には?」

「貴方みたいな性欲魔獣とは結婚したくないという事ですわ」

「……」

 

 藍田……ドンマイ。

 

「いや待て! 何故自己紹介で俺がいじめられてんの!?」

「貴方をそういう理由で受け付けられないという自己を紹介したまでですわ」

「聞かなきゃ良かった」

 

 女の深層を深掘りしちゃあかんよ藍田くん。

 

「取り敢えず授業始めるか」

「おう」

「うん」

「はいですわ」

 

 これから何をするのか全く予想出来ねえけど。

 

「では今からお前らには……」

「……」

「この二組の中で、俺がヤりたいと思う女子を捕まえてこい!」

 

 ……へ?

 

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