第三百十七話 流石に視点戻ってくれ


 江代ちゃんが帰って二時間後。

 

「おっす」

「お、初ちゃん」

「いやあ……視点を遠藤に預けてる時は楽で良いわ。店の内装が心配だけど、ちゃんとそこら辺分かってくれてるし」

「その事なんだけどさ……」

「なんだよ」

「疲れたから元に戻って?」

「急だなあ……まあ私主人公だから仕方ねえが」

 

※※※(浅井初 視点)

 

 何話ぶりかも覚えてねえ。

 

「今回パロドラマの時並みに長かったね」

「だな」

「良かった。一つ肩の荷が降りた……」

 

 もう一つは……アレの事だろう。

 

「遠藤さん、トーストと珈琲お願いしますわ」

「ありがと」

 

 バイトを始めた美咲。さて、あの性格の美咲にまともな仕事なんて出来るのだろうか。

 

「注文良いか?」

「美咲ちゃんお願い」

 

 まあいじめたりはしないでおこう。相手がしない限りは。

 

「いらっしゃいませ」

「おう」

「ご注文をどうぞ」

 

 おーやればできるじゃん。

 

「じゃあプリンアラモードとオレンジジュースを貰おう」

「ドリンクはサイズがショート、トール、グランデ、ベンティとありますがどうされますか?」

 

 ス〇バかよ。

 てかこんなシステムいつ出来たの?

 

「ん……?」

 

 遠藤さんは横に首を振っている。

 

「そんなシステムはないって……?」

「お客様?」

「美咲……普通にやろうな?」

「……バレたか」

 

 バレたか? じゃねえよ。

 ちゃんとやれ。

 

「取り敢えず注文は以上だ」

「分かりました」

 

 そのまま美咲はカウンタ―に戻っていく。

 

「ホント大丈夫か……?」

 

「プリンアラモードとオレンジジュースをお願いしますわ」

「はいよ~」

 

 遠藤さんが冷蔵庫から材料を取り出し始める。

 

「ホントにあいつ出来なくないんだから、ちゃんとしてれば良いのに」

「貴女方以外の前ではちゃんとしてますわ」

 

 いきなり距離を詰めるな。

 

「それにしても、まだ料理はしてないみたいで安心したぜ」

「だから毒なんていれないって言ってますのに」

 

 お前のその言葉は断固として信用しねえ。

 

「はあ……。なんつーか、私が悪いみたいになりそうで困るんだが……」

「自分の罪を認める気になったんですの?」

 

 嫌だけどな。

 

「美咲ちゃん、運んで」

「はいですわ」

 

 ……。

 

「お待たせしました」

 

 うーん……。

 

「初さん何か考えてますわね……もしかしてこの流れは諦めて私を救ってくれますの……?」

「いや今回の話のオチが無さそうだからどうしようかと」

「最低ですわ!」

 

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