第三百十話 美咲、バイトを始める その一


「バイトを始めたいですわ!」

 

 私に言わないでくれ。

 

※※※

 

「なんでいきなり? てか何で私に宣言? やっと奴隷になるのか?」

 

 ホントに一章から私にしてきた事は、お前を死なせるだけじゃ足りねえ。

 

「段々淀子さんに似てきましたわね」

「お前をぐちゃぐちゃにしても良いか?」

「あの姉にして……この妹ありですわ」

 

 お前にだけは言われたくねえ。

 いつから私よりまともというポジションになった?

 

「貴女よりはまともな自信がありますわ」

 

 その自信は親父の玉袋にでも捨ててから生まれるべきだったよ……。

 

「まあ私が大変な時に爆弾代わりに動くアルバイトならいつでも募集してるから」

「二度とやりませんわよ! そうじゃなくて、お金を稼げるバイトですの!」

「よーし近くの怪しげな店に行こうか。変な病気を貰って二度と学校に来るな」

「どれだけ私を避けたいんですの!」

 

 私の役に立つ気がないなら二度と近付かないで欲しいレベル。

 

「私は初さんの事嫌いではありませんの」

「は? じゃあ具体的に言ってみ?」

「どんなに頑張ってもバストウォールな所です」

「よし決めた。お前は姉さんとSM嬢として一生を送れ」

 

 姉さんは殴る蹴るで、美咲は爆弾で!

 

「初ちゃんそれお客さん死んじゃう……」

「まあそうなったら姉さんは無理だが、美咲は牢屋に入ってもらおう」

 

 そして一生顔見せるな!

 

「どうしてそうなるんですの!」

「お前今私の事思っきし馬鹿にした癖に何言ってんだ」

 

※※※

 

「真面目に考えてください」

「お前らの性格で真面目に考える方が馬鹿だわ」

 

 こいつらには時間という概念がないのだろうか。

 

「和泉」

「どーしたの?」

「こいつの相談、お前に任せても良いか?」

「ふぇ、ふえええ……? で、出来るかな?」

「(終わった後でハグしてやるぞ)」

「良いよ!」

 

 ちょろい。

 いや、まあ仕方ないからしてあげなくもないけど。

 

「私は姉さんと違って約束は守る奴だからな」

 

 なんか淀子に似てるって言ってから、必死に似てないアピールしてるな。By作者

 

「当たり前だろ」

 

 誰だってあんなのと一緒にされたくねえわ。

 

「てかそもそも……なんでバイト?」

「忘れたとは言わせませんの。淀子さんのせいで、私は借金持ちですのよ!?」

「あー、それでか……」

「親も私の借金なんて心配すらしてくれませんでしたわ……」

 

 私のお袋を見て言うのも難だが相当な毒親だな。

 

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