第二百四十七話 浅井三姉妹のバカなアルバム その一


 九月三十日。それは今日の日付だ。

 その日は私にとって……特別だが究極の呪いが掛かった日でもある。

 

「誕生日か」

 

 忘れている方がいるかどうかは知らないが、私達は三つ子である。

 生まれた順序はあるものの、一応タメなのだ。

 

「……」

 

 そんなわけで今回は、ちょっと特別な話を見せてやろう。

 私達が幼稚園~中学生の頃の話だ。

 

※※※

 

 まずは幼稚園。

 

「よし……」

 

 まだ家にエアガンすら無く、段ボールで銃を作っている目つきの悪いのが浅井初(五歳)。

 この頃は……まあ年相応だった。

 若干やんちゃだったりはしたが……。

 

「ねえせんせー。かねちょうだい」

「ぐえ……」

 

 現在カツアゲ中の浅井淀子(五歳)よりはマシだった。

 そして驚く話をしてやろう。

 

「おねえちゃん、まだ?」

「おう、できたぞ」

「わー! おねえちゃんすごい!」

 

 さてここで問題です。

 この台詞は誰の台詞でしょうか?

 

「これくらいはかんたんだぜ、えよ」

 

 そう。お姉ちゃんと呼ぶ女の子は江代なのだ。

 

「だいじにするね! おねえちゃん!」

 

 ああ神よ……貴方はどうしてこんな良い子をさらってしまったんですか?

 

『キャラ的にそれだとお前が苦労しなくてつまらん』

 

 黙ってろ。たまには私を休ませろ。

 

『取り敢えず異世界ハロワ潰してくる』

 

 やめろ。

 

※※※

 

 これはとある日の事。

 

「せんせー! こわいおじちゃんがともこちゃんを!」

「え!?」

 

 そう。幼稚園に殺傷事件の犯人が現れて、クラスメートを人質にしたのだ。

 

「おいコラ! こいつを生かして欲しけりゃ、余計な事をするんじゃねえぞ!」

「うわあああああああん!」

「ともこちゃん!」

「ぐへへ……それにしても中々可愛いな。持ち帰っちゃおうかな」

 

 てかこの作品って、こういうモブですら変態ばっかなんだよな……。

 まあ勿論この頃の私達に通り魔と戦うなんて不可能。

 やっぱりこいつがやってくれたのだ。

 

「? なんだお前?」

「……うふふ」

「お前こいつより可愛いな」

「あたりまえよ。わたしにかおでかてるおんななんていないわ」

 

 性格で勝てる女は山ほどいる。

 私とか私とか私とか。

 

「うるさい処女の極み」

 

 どうやって未来の私にツッコミを入れた!?

 いや私のせいか? 私がそう言われたと思い込んだせいか?

 

「なんだ? この女の代わりに俺の欲を満たしてくれるのか?」

 

 何で立てこもろうとしてた筈なのに性欲処理が目的になってんだよ。

 

「ふーんよくをみたせばいいのね。じゃあこーすはどうしますか?」

「コース? そうだなあ……取り敢えず俺の息子を

「ふんっ!」

「ぐあっ!」

「おきゃくさま……ここはSMせんもんてんですよ? おきゃくさまがうけがわの」

 

 よく考えたらこいつこの歳で風俗の知識があるのか……。

 もう色々とツッコミたいけど我慢だ。

 

「ろりこんもたいがいにしなさいよせいはんざいしゃ。なんならきょせいこーすにするけどどうする?」

「や、やめてください!」

「そっか。わかった」

 

 グシャッ!

 

「ぎゃあああああああああああああああああッ!!」

 

 取り敢えず息子は無事だったけど、全治一年の大怪我をしたらしい。

 

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