第二百四話 アイドル大会編 その三十


 別れの後、私達は部室をあとにした。

 

「……四年後、正子達はここに来るんだよな」

「ふっ、何もなければな」

 

 普通姉さんが答えても良いのだが、もう姉さんはとっくに帰った。

 

「明日のライブ大丈夫かなあ」

「吾らなら勝てるさ」

「いやそうじゃなくて……」

「なんだ?」

「姉さんの事だよ」

 

 ライブ中にゲロ吐かれたらヤバい事になりかねない。

 

「流石にそれは無いと思うよ?」

「いや和泉、ここまで姉さんがゲロ吐いたシーンと回数を考えればあり得るんだ」

 

 久しぶりに和泉がまともな発言をしてくれた。

 

「私はいつもまともだよ」

「ウンソウダネ」

「どうして棒読みなの~?」

「ここまでの話をあとで見返しなさい? そうすれば分かるぞ」

 

 本当にこいつらは成長出来たのだろうか。

 

「この力で、早速他チームを倒しますわ」

 

 リアルファイトしそうだな。

 

「私はそこまで頭悪くありませんわ」

「へーそうか」

「殴りますわよ」

「撃つぞ」

「ひいっ……」

 

 ……まあでも、楽しかったな。

 

「まだライブをやってすらおらんぞ? 貧乳の銃士よ」

「へへっ……」

「そういう言葉は、明日終わってからにしようぞ」

「だな……」

 

※※※

 

 そのまま久しぶりに自分達の家に戻り。

 

「ただいま~」

「うう……」

 

 ライブ後突如姿を消した姉さんと再会……した。

 

「大丈夫か?」

「ごめんしばらく寝かせて」

 

 今包丁持ってきたら刺し殺せそう。エアガンの弾は無理だったけど。

 

「そもそも私の身体に大抵のものは効かないわよ」

「……はいはいそうでしたね」

 

 ちっ……殺せると思ったのに。なんでゲロ吐いてる時に弱体化させねえんだよクソ作者。

 

「とにかく、明日は本番だ。本番中に吐くなよ?」

「無理」

 

 言い出しっぺお前なんだよなあ……。

 

「てか水くれない? 私今動いたら吐きそう」

「おう」

 

※※※

 

 しめた。姉さんがまともに動けない間に悪戯をしてやろう。

 

「えーっとデスソース九十杯、タバスコを九十滴……」

 

 はい完成。

 

「おーい姉さん、ジュース持ってきたわよ~」

「あ、ありがと……」

 

 まあホントはジュースって吐き気ある時はあかんのだけど。

 

「……初?」

「な、何だよ?」

「これ何?」

「ジュース」

「は?」

「ジュース」

「どう見てもデスソースとタバスコの混合物よね」

 

 なんでそこまでバレてんだよ。

 

「私鼻良いからね」

「畜生殺せると思ったのに……」

「あとで私がアンタを殺すわね」

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る