第五十四話 幸運過ぎる!?転校生 その三

「つ、次は今回みたいにはいかないわよ」

「姉さんが動揺してるぞ……」

「次は大食い対決! メクドナルドのポテト大食いで勝負よ! 片方が席から離れるか、ギブアップした時点で決着よ」

「大食いか……確かに幸運で解決出来なさそうだが。吉川どうなんだ?」

「ボクの運を信じてみるよ」

 

 こいつ……余裕だ!

 え! なんで!?

 一応姉さん大食い得意よ!? 勝負しかけてくるくらいだから、一般人じゃまず勝てないぞ!?

 

「ふっ、開始だ」

 

 江代の合図と共にスタート。

 

「オラオラオラオラッ!」

 

 いつも通り、姉さんがケン〇ロウのように叫びながら口にポテトを入れていく。

 

「は、早いな。吉川は……」

 

 普通だ。普通の人間が、普通に食べているようにしか見えない。

 決まりだ。これは絶対に勝てない。例え幸運が働こうと……。

 

「あれ、美佐江大丈夫?」

「大丈夫じゃないの。もう三日も便秘気味で辛いの」

 

 私達の目の前を、二人組の女子高生が歩いている。

 あれ、もしかして何かが起こっている?

 

「あ、丁度バッグの中に下剤があったよ。これ飲んでトイレで

 

 ――カァー! カァー!

 

「きゃあッ!」

 

 カラスが液状の下剤を奪った。

 しかし。

 

「姉さんのポテトにかかったァァァァァァッ!」

「はぐ……うっ!」

 

 やべえ姉さんが苦しみだしたぞ……確かこの戦い、離れたら負けの筈だぞ?

 

「や、やばいわ……これはトイレに速攻駆け込まなきゃ死ぬゥゥゥゥ! ヒロインなのに脱糞すりゅうゥゥゥゥゥゥッ!!」

「良いから早くトイレに行けェェェェッ!!」

 

(しばらくお待ちください)

 

※※※

 

「いやあ、まさか勝てるなんてね」

 

 幸運にしては出来過ぎだろ、あれ。

 

「ううう……お腹痛いわ……」

「姉さん、もうここは諦めてこいつを

「こうなったら、もうリアルファイトで決着をつけるしかないわね」

「落ち着けェェェェッ!!」

 

 しかもいきなり行ったァァァァァッ!

 

「今回ばかりは、ボクもツイてないね」

「はあっ!」

 

 いや、そう言いながらめっちゃ躱してるじゃねえか……。

 でも無理だ。姉さんには絶対勝てない。

 それはもう確信を持って言える。

 

「もう一度、ボクを救って」

 

 パチン、と吉川の指が鳴る。

 

「はああああああ! おりゃあ――ってあれ……ああああああああああああッ!」

 

 ……。

 

「姉さんが落とし穴に落ちたァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

 ホントこいつ……何なの。

 

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