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 今年のGWは天皇陛下の退位及び即位の影響で十連休という過去に類を見ないほどに長い休みとなった。そのGWの間に部活では研究テーマの発表という一大イベントが待ち構えていた。先輩たちの話を聞いていく中でとても鋭い質問が多数出てくるとのことで既に引退した三年生の先輩も来て更なる試練を与えるらしいという話も聞いた。

 いざ当日、午前十時から始まる研究テーマ発表の約十分前には一番鋭い質問をすると聞いていた先輩が来た。これは相当キツい戦いが待ち構えているととっさに僕は判断した。先輩が来るおよそ五分程前に発表する順番をくじによって決めた。その日は一年生が六人いて、その中で四番目に僕の番が来るということになった。一人、また一人と発表が終わっていくが先輩たちの言葉は質問というよりアドバイスのようなニュアンスの方が近いのではないかと思えたが、厳しめの言葉が飛んでいるのには変わりなかった。いよいよ出番が来た。僕が打ち出したテーマは「電解質溶液で流れる電流の差」についてで金属板のイオン化傾向の差で流れる電流に違いが生まれるのならば溶液の方でも何か違いがあるのではないかと思ったのがこのテーマにした理由だった。作ったスライドを基に説明をしていった。スライドが勝手に動くというアクシデントが発生したことは置いておいて…色々想定されていた質問をされ、少し嬉しい気持ちもあったが乾電池で使われている電解質溶液がどうして使われているのか調べたかという三年生の先輩からの鋭い指摘に相当困惑してしまった。さすがに想定外過ぎる指摘だった。調べてないと僕が言うとじゃあ、作ってるメーカーに聞こうと軽いノリのトーンでそう言った。そんな感じで無事に研究テーマ発表が終わりホットした。残りの二人の発表も終わり全員がほっとした感じになった後に顧問の先生からの講評のようなものがあり今後は指摘されたことなどを詰めていって完璧に研究できるという段階まで仕上げるようにとの話があった。

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