壱百文字怪談

兼尾久礼

壱: 件

 私は小さな村の農民である。

 ある日、牛の体を持ち、人の顔を持つ怪物を見た。

 その怪物は私に、

「近い内に此処らで酷い飢饉が起こる」

 とだけ言い残し、すぐさまその場で死んだのだ。

 あの怪物は何だったのだろうか。

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