4月29日(木) 広島市中区基町にある庶民店「ジョイフルショップゆあさ」でお好み焼きを食べる。

広島市中区基町にある庶民店「ジョイフルショップゆあさ」でお好み焼きを食べる。


最近ラジオでビッグマックを無性に食べたいという話を聞いていたせいか、昨日の夜からお好み焼きが欲しくてしかたなかった。


時間に余裕のない人には食べる機会を持たせない広島のスローフードだが、出来上がりを待っている間はカフェにいるような作業時間を持たせてくれるので、そこを考慮すればのんびり味わえる良い食べ物だと気づいた。


紙屋町シャレオにあったお好み焼き店へ足を伸ばすと、すでにシャッターに飲み込まれていたので、ふと思い出したようにそごう広島店の地下へと歩いた。


初めて広島に来た時に一人で食べたのが「ジョイフルショップゆあさ」さんのお好み焼きで、知り合いからのお勧めに従って店に来た時は、フードコートともいえないデパ地下の一角で新鮮な気持ちを味わった。


あらためて来てみると、どこに店があるのかすぐに見つけられなかった。地下一階か、それとも二階か、日頃タイムセールを求めて来るくせに、「ジョイフルショップゆあさ」は記憶のねつ造のように不確かで、今も本当にあるのかと疑ってしまった。


とはいえしっかり探せば、すぐに目に飛び込む「御座候」からそう遠くない場所に店はあった。肉玉そばのイカ天を注文して、たしかに変わっていない席とカウンターで待った。もうすっかり慣れてしまった広島の人らしい今に比べると、以前の自分はすこし焦って食事したような気がする。


他の店で食べるお好み焼きに比べると、ぐでたま、たれぱんだ、そんな言葉で形容できる料理となっていて、キャベツはしっかり蒸されて甘く、麺はいくぶんのびて太く柔らかく、生地は厚みがあってお好み焼きらしい。焦げやふっくらと違うそのまんまのお好み焼きで、見た目の量の通り肉もイカ天もたっぷり入っているところが昔らしく感じる。創業70年とあるが、おそらく昔からのお好み焼きとしての味は確実に残っているのだろう。


細かい味の違いや仕上がりの分布図ならば、おそらくど真ん中にたれて座るであろう味らしく、初めて広島で食べるにはこの上ないクラシックなお好み焼きを勧められたらしい。その数日後に境港を出発して長期旅行に出たのが懐かしく、広島に住み始めるその二年前の味は、やはり自分が変わったと感じさせてくれる変わらない味のままにあるのだろう。

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