8月3日(月) 広島市中区中町にあるカレー店「南インドカレー食堂 カレーの木」で日替りミールスを食べる。

広島市中区中町にあるカレー店「南インドカレー食堂 カレーの木」で日替りミールスを食べる。


毎週火曜日に決めている外食で「南インドカレー食堂 カレーの木」さんを訪れることを試みて、すでに3度は断念しただろう。明日の夜にも行く予定だったが、もしかしたら休みになるかもしれないということで、「今日行こう」という提案にのった。


曼荼羅に彩られた日替りミールスは見たまんま豪華だ。巷にあるインドカレー屋に比べると、今日のカレーはどれも香辛料の味わいが混在するよりも、クミンシードやタマリンドなどが輪郭を持って味わえるようで、甘みや酸味など、それぞれの風味とコクがすっきりと仕上がっている。


さつまいものコランブは、暑いと甘いものが欲しくなると気付かされる汁気のカレーで、ラッサムは他の店で見ない粘り気のない汁で、インドの列車内での食事で白く平たいイドゥリをこれに染み込ませて食べた記憶が浮かんだ。マンゴーのアチャールの甘みもいいが、エビの旨味と辛みがとくに美味しく、レバーも疲れた体に効くようだった。そのなかでなにより体に染み込んだのが黄色っぽいダールで、豆に始まり豆に終わる、などとインチキ文句が浮かんでしまう滋味深い味わいだった。


デザートに枝豆の塩アイスをいただき、これも風味の強さに塩がコントラストを強めていて、まるでピスタチオのジェラートを食べるようだった。


夏はカレーがおいしい、などと季節に限る食べ物ではないが、やはり暑いとうまく感じる。最近は家で昼ご飯をとるとき、アレクサに向かってダンスミュージックを要求して、頭を振りながら食事している。ついついテンポの早さを求めるのは、体の素直な反応だろう。


今日も料理人と音楽の関係を証明するような話題があり、フォルクローレという言葉も頭に浮かぶ穏やかなサウンドが店内を流れていた。この店を開くまでの経緯を少し知ると、培ってきたものがすべて表れているように錯覚するくらいだから、料理はその人を代弁するのだろう。ただ食べるだけでなく、その作り手の人生も味わうことこそが、おいしいことだろう。

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