6月2日(火) 広島市南区的場町にあるカフェ「あかいはりねずみ」のモロッコサンドを食べる。

広島市南区的場町にあるカフェ「あかいはりねずみ」のモロッコサンドを食べる。


最近は持って帰ってきてくれるチャバタやフォカッチャを本当においしいと思うことが多く、感染症によって世界の状況が変わってから、妻の持つ能力の真価が現れるという不思議な体験を身近に感じている。


とにかくパンそのものがおいしいので、風味の強い野菜と香辛料の味つけでもおおらかに包みこんでしまう。このモロッコサンドも同様だ。


かぶりついてまず口に届くのがクミンの香りで、ついでしっとりした中からは、フレッシュではなく、塩と同化して底の深さを持ったレモンの香りの良さだ。この矢印の異なる味わいの組み合わせでありながら、互いを壊さずに緊密に響かせていて、その中で別の酸味を持ったキャロットラペや紫キャベツがしゃきしゃきの水気と食感の良さを加えている。そして味つけされた鶏の胸肉が淡泊だからこそ脂でごまかさない味となり、クミンとレモンの中間で相性の良い味わいは倍加されていく。


ある部分ではレモンの塩気が強かったとはいえ、アイデアとテイストの再現はたしかにモロッコらしい異国の存在感を持っていて、クミンとレモン、その組み合わせだけで、一口した瞬間に異郷は立ちのぼる。


最近評判になっているが、毎度思う通り、噂に間違いのないサンドイッチだ。

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