4月15日(水) 広島市中区十日市町にある音楽喫茶「ヲルガン座」でヲルガン座チケットを購入する。

広島市中区十日市町にある音楽喫茶「ヲルガン座」でヲルガン座チケットを購入する。


とある人がシェアしているのをフェイスブックページで見た。広島飲食店未来チケットは知っているが、似たような形として「ヲルガン座」による自前の天国ビル通貨が発券されるらしい。長文を読みながら、柔順に刺激されて購入することにした。


なんとなくで動かされるものだが、どの点に惹きつけられたかは簡単に挙げることができる。


1、妻が働いていたから。

2、妻の知り合いとして、知っている人が関わっているから。

3、チケットを購入しても、1人で店に入れて、酒を飲みながら作業ができるから。

4、オーナーの苦労と心意気を聞いたことがあるから。

5、誰かに頼ることなく自分でチケットを生み出して、特別な付加をつけているから。

6、広島市内になくてはならないものだから。


6の理由は、妻から聞いた知人の言葉を拝借している。多くの人に必要とされるから存続するであろう、こうなっていくであろう店の話をいくつか聞いた。チケットはあくまで前借りであって、これを購入したから慈善活動のような気分になりそうにもなるが、まるでそんなことはないだろう。そもそも購入した金額分だけ後々に使用できるのだから、仮に貸し倒れのリスクはあるにしても、落語のマクラで聞いたのだろうか、金の貸し借りでもっとも良い心構えは、戻ってこないものだと思うくらいの気持ちで貸すことらしいので、それくらいの心持ちであるなら、たとえ使えなくなったとしても大きな損はしないだろう。


飲食店それぞれに働く人や常連さんが関わり、それぞれの生活が密接に繋がっている。比較するべきではないのだが、広島市内で唯一無二の文化発信としての地位を占めている「ヲルガン座」の重要性は、常連でもなく、オーナーのゴトウさんと面識があるわけでもなく、直接の関わりのない自分であっても、肌に感じられるものだ。ヲルガン座チケットの発券理由を読んでいて素直に頷けたのが、ここを頼りにしている多くのアーティストの群れが背後に存在していることで、前にも“寄らば大樹の陰”なんてことわざを使ったが、ことわざの意味としてよりも、そのままの字面の意味としての母なる樹としての印象を持ったわけで、樹が枯れてしまえば、そこに宿りのある者が多く困ることになる。それを避けるための、狭い個人ではなく、広い全体を慮っての策に心が動いたのだ。


本当に大変だと思う。わずかな力にしかならないが、募金の力は知っているので、何もしないよりかはましだろう。近い人がお世話になった感謝と、店の関係者の演劇人、ここで学び別で働く飲食人、楽器を弾く音楽家、ここを楽しみにしている知らない多くの人達、そんな者者のサイクルが止まらずに回る為の一滴の潤滑油として、チケットを購入した。


ここで飲んだラフロイグで、一人の作業ができるだろう。いつかチケットをちびちび使えるように、今は常連ではなくても、耐えた先に、少しだけ知ったげな顔して店に入れる日を心待ちに、チケットを失くさないように保管しておこう。

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