3月10日(火) 広島市中区十日市町にあるスペイン料理店「ラ・フォンダ」でワンコインランチを食べる。

広島市中区十日市町にあるスペイン料理店「ラ・フォンダ」でワンコインランチを食べる。


別れは突然にやって来る、その常套句が昨日の昼に来た。いつも買う弁当が終売になった。仕事上、扱っている商品にそんな形容のつくことはあるが、いざ自分が消費者の立場で事態に面してみると、うろたえてしまった。


昨日は唐揚げ弁当を買ったが、毎日からあげ弁当はどうだろうか。試したことはないが、油分に強いとはいえない腹は耐えられるだろうか。肉体労働の成果は鶏肉で身につくとしても、どうだろうか。うろたえてしまった。


今日は雨なので、家に帰らずに昼食をとることにした。からあげ弁当はとても匂いが放たれるので、さすがに職場では食べづらい。


ということで意気揚々と「桂蘭」へ行くと、久しぶりなので定休日を忘れ、閉まっている。「喫茶 めくる」も考えたが、足は「ラ・フォンダ」に入った。


ワンコインランチでイカと小松菜のペペロンチーノを頼む、大盛りで。久しぶりに来たが男前の店主は健在で、厨房の人も同様だ。


ピザは食べるがパスタはあまり食べない自分にとって、ペペロンチーノは意外な発見が多かった。少ない汁は一口目は塩っ気が弱く、辛みは別世界で広がっていくのだが、どうも味が薄いと思った。ところがカッペリーニかスパゲッティーニか区別できない細いパスタを口に入れて、パスタそのものがこれほのおいしい料理だったのかと気づかされた。イカの旨味と小松菜の甘みのある風味が静かにしているソースは、ニンニクもちらちら見るように隠れていて、植物オイルの旨味があり、それらがこの細いパスタの味わいを立てているのだ。


パスタも美味しいな、と思い、フランチャイズではないパスタ専門店でも探す気になってしまう。明日はきっと唐揚げ弁当で、毎日に耐えられない場合を考えて400円の総菜弁当屋さんを試してみよう。


終売なんて日頃使っているけれど、生活にこうも振動をあたえるとは、身を持った体感のパスタをいただく。

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