7月5日(金) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでエミリ・アテフ監督の「ロミー・シュナイダー ~その光と影~」を観る。
広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーでエミリ・アテフ監督の「ロミー・シュナイダー ~その光と影~」を観る。
2018年 ドイツ、フランス、オーストリア 115分 白黒 Blu-ray
監督:エミリ・アテフ
出演:マリー・ボイマー、ビルギット・ミニヒマイヤー、ロベルト・グヴィスデク、チャーリー・ヒューブナー
“ロミー・シュナイダー”、映画を好きな人なら知っているであろう名を自分は全く知らず、キャサリン・ヘップバーンのように気になった俳優を上映後に調べてみて、これほどの人物なのかと驚いた。そのままウィキペディアを読んでいると、映画の内容を詳らかに説明しているようで、適当にばら撒いた種が少し水を得ただけでそこかしこから芽を出して伸びるように映画の内容理解に精彩が出てきた。
モノクロの画面の中で、人物を追跡するようにカメラは動き、多角的に表情をとらえていく。前半のインタビューのシーンは緊張感に満ちているが、それは大女優と世間で一面的に認知されている人物を一人の記者が追い詰めていく一方的な張りつめ方で、光陰をむき出しにする表情と画面の色が不安と不穏な空気を色濃く表している。
酒と人と共に夜を越し、朝を迎えるシーンは二度あるのだが、モノクロ画面からもその活力に満ちたブルターニュ地方の朝日が輝かしく、疲れているのだろうが、夜という峠を越えて浮かれてしまう健康な笑顔が海辺の強い風に吹かれながら、人と人との他愛もないやりとりが生かされていることの一端を見せている。
大西洋に突き出たフランス北西部の五つ星ホテルを舞台に描かれる物語は、有閑なハイクラスの人間模様の作品である「魔の山」や「失われた時を求めて」を思いださせる。敏感な深層心理を映し出したようなしめやかな音楽が画面の色と調和して、人間関係の機微を的確に色を添える。
ただ、一つ一つの場面で語られる内容は、実際にロミー・シュナイダーの出演する作品を観て、舞台を変えてきた配役をたどってきてこそ、真価がわかるのだろう。それは一昨日観た「ヤン・パラフ」同様に作品をより親身に味わう為の背景知識だ。
もちろんそれがなくても人物に近づけさせられる。数年前に、シネツインでヴィスコンティ監督の「山猫」を観て、その前後のどちらかの日程で「ルードヴィッヒ」が上映されていた。仮にその作品を観ていたなら、今日の映画はまるで違って映っただろう。
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