第146話 地味な男の子と年上の女性

 地味な男の子がいました。

 地味な男の子は病気で弱って自信なんてありませんでした。

 地味な男の子は小説が好きでした。

 地味な男の子は頑張って自分の小説を書いていました。

 ある日のことです。

 とある女性が本を読んでいます。

 地味な男の子は気になっています。

 勇気を出して話しかけてみます。

 女性は笑顔で地味な男の子と仲良くなります。

 地味な男の子は好きな人のために文学の学校に通います。

 理由はよい成績を取ってその好きな女性の笑顔を見たいからです。

 地味な男の子は成績優秀です。

 年上の女性も笑顔です。

 いつしか、地味な男の子はおしゃれに気をつかうようになります。

 けれども、男の子は体調不良で退学します。

 その時に温かい言葉をかける年上の女性。

 男の子は次にコンテスト等にも小説を応募します。

 おしゃれな男の子は女性の笑顔を見たいから頑張ります。

 いろんなことがあります。

 二人の間にもいろんな感情がありました。

 怒ったり、泣きそうだったり、笑顔だったり。

 二人はいつもの帰り道を歩きます。

 バイバイ、またね。

 そう言った年上の女性。

 おしゃれになった男の子は、ただ手を振るだけです。

 それから、二人が会うことはありません。

 男の子は女性を待っています。

 けれども、年上の女性は来ません。

 男の子は何度も泣きます。

 ひとりぼっちで。

 でも、男の子はこれからも頑張ります。

 大好きな年上の女性の笑顔のためにも。

 また会えるって信じて。

 ひとりぼっちの帰り道、さびしいけど、泣きません。

 だって、好きな女性のためにも。

 これからも男の子は頑張って小説を書きます。


 おしまい




続く

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