0から作る小説同人誌、ちなみに俺ひとりだけでスタート!?

野口マッハ剛(ごう)

第1話 12万円? おおう……。

 やっと書けた。

 手書きの原稿用紙を。合計65枚、三作品からなるその数字に達成感はある。

 なぜ手書きかというと、パソコンを持っていないのだ。それに手書きの方が慣れていた。

 400字詰めに書いた文章の完成度はさておき、今日は冊子製本の店に行った。つまり、自分だけで小説を書いて、無料でどこかに配るつもりで相談をしに。

 店員にざっくりと手書き原稿の枚数を伝えた。

 すると、予想外な返事が。

「それでしたら、400字詰め原稿用紙×約60枚で12万円の文字の書き起こし(?)になりますね」

「え、どういうわけですか?」俺は頭が真っ白になる。

「昔は手書き原稿を書き移す職人さんがいたのですが、今はパソコンの時代、冊子製本代とは別に12万円はかかります」

 な、なんてこったーーーー!

 あれほど苦労して書いた手書き原稿に冊子製本するなら12万円はかかるなんて……。

 それから店員はパソコンでの執筆をオススメしてきた。

 そ、そうだよね? お財布に優しくなるからね?

 あうう……、どちらにせよ予算7万円以内でノートパソコンは買えたけど、家の固定電話回線やネット環境もないから、その7万円以内にサポート料金が含まれる。

 パソコンを受け取れるのは3日後、それから0からの原稿執筆である。手書き原稿の書き移し? 無理を言うんじゃないよ! (泣)


続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る