きゅっきゅちゃんといっしょ!~転生して最強俺TUEEEスキル網羅されたけど、そんなことより目の前にいる未知の生物を殖やしたい~

浅間 柘榴

予告。

 何の変哲もない日常を、過ごしている。

 そう、思っていた。



「一名様、異世界にごあんなーい!」

 その一言で、俺は異世界に拉致られた。

 

 異世界に転生しても俺は変わらない。

 俺は、普通に、日常を生きてくだけ。


 勇者だとか、英雄とか、そんなもの……

 俺には遠い存在だ。

 

『えーと……タチバナクン……だっけか?』

 異世界で、知り合いに出会い。


「不老不死、永久成長、天武の叡知……状況適応……に、因果率予測、黄金比……あ。千里眼も持ってるんですね。うわ、それ栄光の御印まであるのですか……生まれる時代今でよかったですね……下手すりゃ勇者に仕立てられてる」


 ……そう言われたって、知らんがな。

 当事者意識なんて皆無だった。

 だって、実感なかったんだから。


 そして、運命に転がり落ちるように

 俺はそれに出会ったんだ。


「きゅっきゅちゃーん」


 まあるい、もちもちぼでぃー。

 頭と胴体の境はなくって、もちのよう。

 小さな三角お耳に、短い尻尾。

 極めて短い体毛に覆われ、ウィスカーパットに三本ずつおひげが生えている。

 そして

「きゅっきゅちゃん」

 と鳴くそいつに出会い。

 俺は


「俺、こいつ。飼う。牧場主になる!」

 こいつで世界を満たさねば、と決意したのだ。


 俺は英雄になりたいわけじゃない。

 ただ、平穏に

 こいつらに満たされて生きていきたい。


「橘ちっちゃくなったなぁ……つか、もう橘じゃないんだっけ。アーバイン? ふーん……ハルトって呼んで良い?」

「雪華庵の自慢のスイーツ! 和菓子なら何でもござれだよ」

「ハネズさんは武器商人だからね、目を見れば何が必要かわかるのさぁ」

「うちのたい焼きは神様だろうが病みつきにするさね」


 神も狐も真祖もなんでもござれなこの異世界で。

 前世のことを思いだしつつも、俺は平和に生きていく。


 そう、思ってたんだ。











「俺たち……いや、高藤優樹は気になってしょうがないのさ。なんで、お前……そこまで”歪んでる”んだ?」



 違和感に気づいたのは、結局……











 生まれ直してからだった。

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