第4話 ここは
───コンコン。
突然のノック音に驚いて、身体を仰け反らせる。
「はいぃっ!」
噛んだ。恥ずい。
しかし、私の声可愛いな。流石ヒロイン。
なんか、あれだ。この声で『お兄ちゃん、メールだにょん♪♪』とかいうボイス着信音売り出したら、バカ売れするやつだ。
「入るわよ……あら、目が覚めたのね!元気そうでよかったわ。」
そう言って部屋に入ってきたのは、修道服を着た、スッキリ美人なお姉さんだった。
「あの……ここはどこですか?」
まぁ、修道服だし。察しますけど。
「ここは、孤児院を兼ねた教会よ。貴女のご近所さんがうちに駆け込んできて、報告してくれたから、家で倒れていた貴女を保護したのよ。」
そう優しげに微笑んで言う女性に、自分はあの時そのまま倒れてしまったのだと分かった。
「えっと……母さんは…?」
女性は少し困ったように眉を下げたあと、微笑んでそっと私の手を両手で包み込み、私と視線を合わせた。
「お母様は、天に召されたのよ。お身体は、教会の裏の共同墓地にあるから、後で、お花を備えに行きましょうね。」
私の頭を撫でて立ち上がると、タンスを指さしながら言った。
「貴女は1週間も寝込んでいたから、まだゆっくりしていていいわ。落ち着いたら、ここに入っている服に着替えて、みんなに顔見せしてちょうだいね。」
「1週間も!?助けてくれて、本当にありがとうございます……みんな?」
まさか1週間も寝込んでいたいたという。
その間、タダ飯喰らいしていたなんて、申し訳なさすぎる。貧乏生活が長すぎて、働いてないと落ち着かないという持病を私は前世から患っているのだ。
思い当たる人がいなくて、首を傾げる私に、女性は、
「いいのよ、そんなこと。
ここは孤児院だから、貴女と同じ年代の子供たちが沢山いるの。これからはここで生活するのだから、仲良くしてあげてね。」
その言葉を最後に、女性は部屋から出ていった。
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