居酒屋とご馳走

夕日も差し込まない小さなハコ空間

がらんとしたカウンター

「ここの酒は最高だよ」

饒舌な男の声


煙草の煙と

焼き鳥の匂い


ふと掛けたコートが心配になり

壁の方を見上げる

『馳走』の文字を見つけた


(贅沢な料理を意味するが

本来は『走り回る』を意味するようだ)


カウンター越しにいる主人が

馬に乗り 食材を求めて東奔西走

そんな姿を思い浮かべる


隣の席のお客さんが主人に向かって

とても謙虚な様子で

「ご馳走さま」と言った

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