第12話 巨大遊園地で迷う感覚と似てる
まずは聞き取り調査だな。
さっきはてんやわんやだったが、なんとなくコツは分かった。
『勢いが大事!!』
言葉に勢いを載せるのではなく、心に勢いを乗せる感覚だ。
(いったれ~!!って感じ)
その場で突っ立っていると不意に背中に衝撃が走った。
俺はその衝撃に耐えることができず前に倒れた。
手で衝撃を吸収したおかげか怪我をすることは無かった。
なんか嫌な予感がしたが、逃げるわけにもいかないのでチラッと後ろを確認する。
そこにはさっきの兵士の青年がいた。
心配そうにこちらを見ている。
倒れたままでいても何もできないので立ち上がる。
「大丈夫かい?」
「あ、あぁ。すみません。こちらが突っ立っていたせいで」
「それよりも怪我はないかい?」
「それについては問題ありません。ご心配いただきありがとうございます」
「ごめんね、こっちもぼおっとしていたんだ。だからお相子ということでどうかな?」
「はい。あ、そういえば聞きたいことがあるのですがよろしいでしょうか」
「いいよ。どんな質問?」
「この町に冒険者ギルドってありますか?」
「あるよ。というか、この町のギルドこそ本部だしね」
「そこで冒険者登録をしたいのですが注意事項などはございませんか?」
「特にないよ。登録料とかもないよ。場所がわからないなら僕があんないしてあげるよ」
「いいんですか?では、お願いしますね」
といった感じにギルドへの案内をしてもらうことになった。
しかし場所は案外近かったらしく、大通りを少し歩いたところだった。
丁度人通りが多くて看板が見えなかっただけのようだ。
本部なのだからもっと目立たせてもいい気がするが、あと看板の位置が低すぎるような気がする。
人だかりで見えないってそれは看板の意味がないような。
いや、ない。(断定)
ギルドに着いたら彼はそのまま中に入っていく。
中も案内してくれることに驚き、足が止まったが置いてかれるとまずい気もするのでついていく。
目の前に広がった景色はありふれたギルドだった。
鎧を着た大男が馬鹿でかいジョッキを煽っていたり、露出の激しい女戦士が豪快に食事をしていたり。
そんな光景を見た俺は案外驚きもせず、疑問に思ったこともなかった。
目つきの悪い冒険者もあるあるだし、端で殴りあっているのもよくあることだろう。
正直あまり関わりたくない人種どもだが、何かされそうになったら逃げればいい。
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