宰相さんちの犬はちょっと大きい─契約編─

すみよし

第1話 だって目立つから

「何か、なんでもいい、我に手伝えることはないか⁉︎」


「そんなことをおっしゃられましても」


 契約の申し出を丁重にお断りしての、さらなる竜からの申し出に困惑する一方のシファは、小首を傾げて相手を見上げる。

 その考える仕草に、相手がずずいと身を乗り出してくる。

 そうされるだけでも大した威圧感である。結界を張っていなければ、熱に焼かれるか光に目を射られるか、ろくなことにならないだろう。


 そんな、ただそこにいるだけで、周りに負荷を強いる存在に手伝って欲しいことなど、シファには思いつかない。もし付いて来られなどしたら目立つことこの上ない。どちらかと言えば、否、はっきりきっぱりと邪魔であろう。だからシファは言う。


「間に合っております」

「おおおおっ」


 シファの素気無い返事に、竜王と名乗る魔山の主は、ついに地面に突っ伏した。

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