死んだ爺ちゃんと再会

@noritaka1103

第1話 

いつも通り、元気よく家を出る。

これが毎朝恒例のルーティーンみたいなやつだ。

相変わらず、他人からはドン引きされてるけど…。


そんなこんなで、いつも乗る電車に乗車。

この時も決まって真ん中の席のつり革に捕まる。

特に意味は無い。何となく真ん中が好きなだけで特段、深い理由がある訳ではない!


職場の最寄り駅を降りて、銅像に軽く一礼してから職場方面へ方向転換。

そして突き当たりを曲がる。


「ドーン!」

突き当たりの曲がり角で誰かにぶつかってしまい、咄嗟に謝る。

「本当にすみません!考え事をしていて前方をよく見ていませんでした。ごめんなさい!」

「正臣、顔を上げな。大丈夫だ、お爺ちゃんは。」

名前を呼ばれて、なおかつ自身のことを「お爺ちゃん」と言っていた為、ふと顔を上げると懐かしい人がそこに立っていた。


「お爺ちゃんだよ。久し振りだね。大丈夫か、ぶつかった時に怪我とかしてない?」

小学生の時の記憶が一気にフラッシュバックしてきた。

極度の心配性であるお爺ちゃん。本物と確信した。


「あ、ゴメン!お爺ちゃん、これから仕事なんだ。またね!」

とお爺ちゃんに告げて一旦その場を離れる。

でも、疑問が出てきた。

お爺ちゃんは何年か前に多臓器不全で亡くなったはず。ちゃんとお葬式をした。

だから、生きてる時点でおかしいのだ。


しかし、ぶつかった時に何かにぶつかった感触は確実にあった。

だから、少なくとも「幽霊」ではない。

かといって、あの言い方は別人ではなく、明らかにお爺ちゃんの言い方に間違いない。

本物のお爺ちゃんなのだ。


職場のスーパーに到着後も、あまりに気になって頭から離れない。

同僚に話したりしたが「幻覚か何かじゃないですか?店長、疲れてるんですよ。」

と言われ、取り合ってくれなかった。


帰り道、同じ道を再び通ると、お爺ちゃんが待っていた。

「お爺ちゃん、生きてたんだね。」

とボソッと言うとお爺ちゃんは

「死んでないわ!ちゃんと正臣の前に居るだろ?不謹慎な冗談はやめてくれよ。」

と軽く怒られてしまった。

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