親への殺意

 お父さんのことは、いつもは大好きだ。

 だけど、たまにとてつもなく殺したくなってしまう時がある。

 それは些細なことで喧嘩をした時が多いのだけれど、感じている殺意はとてつもなく強い。

 喧嘩をしたらどんなに向こうが悪くても、自分が謝るまでは終わらないのもムカつく原因だった。

 別に今すぐに、ここから出て行っても良いのに。自分の厚意で一緒にいてやるんだから、少しは感謝の気持ちが無いのだろうか。自分がいなくなったら、困るのはお父さんの方なのに。

 殺す。殺したい。死ねばいいのに。

 いつもは大好きなのに、そんなことを思ってしまう自分が許せなかった頃もあった。


 しかし最近は、こう思うのだ。

 まだ殺意を感じている内は、平和なのではないのか。

 本当に殺したいと思った時は、何も考えずに殺している気がする。

 だから、まだ大丈夫。

 いつ、大丈夫じゃなくなるのかは分からないけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る