駄菓子
駄菓子なんて、食べるのはいつぶりだろうか。
私は袋を開け、中に入っているお菓子をひとつつまんで取り出す。
口に放り込むように入れれば、懐かしい味が広がった。
たまに食べるから、こういうのは美味しい。
いつも食べていたらこの感動も、薄れていってしまうのだろう。
私は、もうひとつ食べる。
こんなふうに当たり前のことを、当たり前のように出来る幸せ。
それを私は、何も考えずにすごしていた。
これが、最後の晩餐にふさわしいのか。
自嘲して笑う。
いや、これだって贅沢だ。
今の私は、わがままを言えるほどの人間ではないのだから。
あの頃の、子供の時の素直な感情に戻れたのならば。
こんな結末は迎えなかったはずなのに。
私は一口、また食べる。
そして涙をこぼした。
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