片付け


「ほら! また散らかしっぱなし!」


 お母さんの怒った声が聞こえてきた。

 私は耳を塞いで、聞こえないふりをする。


「聞いてるの! ちゃんと片付けなさい!」


 耳を塞ぐ私に向かって、さらに怒鳴る声が聞こえてきたけど、絶対に返事をすることはできかった。

 こんな時に、お父さんがいれば。

 優しいお父さんなら、お母さんを止めてくれるはずなのに。


 部屋の隅に座ったまま、ビクともしない。

 そんなお父さんを見て、お母さんは言った。


「早く片付けなきゃ」


 お母さんもまだなのに、私ばっかり怒らないで欲しい。

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