第199話【内乱の終わり】

王国首都シュタウフェンからの報は王国全土を震撼させた。

まず始めに第一王女ヘレン・マーロウの死。

そしてフォースタスによるゴーチエ大公の討伐。

最後に生きていた第四王子フォン・マーロウがスクラッチと手を組み

フォースタスが王に能わずとして新政権の樹立を宣言したのだった。


移動する馬車の中で情報を精査するヴァーグナー達。


「スクラッチは如何やら陛下を討つつもりらしいな」

「ほっとしたよ・・・スクラッチを倒すのは骨が折れるからね」


ゾルゲが呟く。


「だがしかしやはり問題はメフィストだ、 アイツは一体如何言うつもりなんだ?

何を考えているのか全く読めない」

「メフィストが敵に回ったら・・・」

「考えたくないな・・・陛下はヴォルフガング殿下を

無視してシュタウフェンに戻る様だが・・・」

「正直、 今のヴォルフガング殿下を放置しても大丈夫だろうと言う判断だろう」

「ヴォルフガング殿下には生き残って

この戦いが終わった後に王国を再建して貰わないといけない」

「出来るだろうか・・・」

「やらねばならないんだ・・・

戦争が終わったら平和と復興が来なくてはならない・・・」

「そうだな・・・・・」


遠い目で馬車の外を見るシュルトゥ。


「魔王討伐に比べてなんて頭を使うんだろうな、 人間同士の戦いって言うのは」

「そうだな・・・魔王は完全に敵だが人間は敵か味方で別れる程

単純な物じゃないしな、 仕方ないだろ」

「そうね・・・」

「と、 ところでヴァ、 ヴァーグナー、 陛下の無刃造を如何にかする方法は有るの?」

「使わせない、 遠距離から暗殺する」

「難しいと思う・・・」

「何故だ?」

「あ、 暗殺は陛下も危険視していると思うよ」

「ならば如何する?」

「うーん・・・乱戦に持ち込む

狙撃による暗殺を忘れた所でズドンと言うのは」

「駄目だな、 その策で言うと私はその場にいないと言う事になるだろう

それならば、 確実に狙撃で来ると言う事はバレる

戦うならば全員で行くべきだ」

「そ、 それだと外術と真っ向勝負になるよ」

「そうなるよなぁ・・・如何すれば良いんだろう」

「賽は投げられた、 何れにせよ私達はやるしかないんだ」


ゾルゲの言葉でその場は収まった。

しかしシュタウフェンまでの旅程で策を考えるヴァーグナーであった。

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