第127話【仕事上の対立】

「・・・・・貴方の話を聞いて私も益々引き下がれなくなった」


グレートヒェンが呟きを漏らす。


「まさか、アンタの目的も」

「当然ファウストよ、陛下もファウストの死体が狙いだったとは驚いたけど

確かに納得したわ・・・ヴィンセント殿、悪いが特急で仕事を仕上げて欲しい」

「待て・・・アンタの目的もファウストの遺体なら我々は戦う運命・・・」

「運命ね・・・そういう言葉は好きじゃない

でも、ここで戦う必要は有りそうね」


火花を散らせるグレートヒェンとアドリアン。


「ヴィンセント殿、剣を幾つか頂けますか?流石に素手では辛いので」

「構わん、失敗作から適当に持って行け」

「失敗作・・・この装備が見えませんか?ミスリルの鎧、オリハルコンの籠手

アダマンタイトの脚鎧、そしてとっておきの盾」

「盾?」


如何やら背中に背負っている様だ。


「兜は無いの?」

「兜と剣を作って貰おうと思って来たので、でも剣は一応持って居ますよ」


そう言って背から剣を取り出す。


「・・・・・ヒヒイロカネか」

「その通り」

「ヴィンセント殿、ヒヒイロカネとは?聞いた事が無いのですが・・・」

「昔に失伝した幻の金属だ・・・生で見るのは初めて・・・

だがな失敗作と言ってもこちらも素材はミスリル、オリハルコン、アダマンタイト

何でもござれだ、易々と押し負けたりはしない・・・と思う」

「そこは断言して欲しいですね・・・」

「と言うかそんな豪華な素材を使って失敗作って・・・

再利用とかなさらないんですか?」

「あぁ、そうだ、もう一つ、ここでやるな、離れた場所でやれ」

「分かりました」

「分かった」


グレートヒェンは剣を何本か持って行き

アドリアンと共に離れた場所に向かった。

開けた場所で向い合う二人。


「しかし、鎧は着て来なくて良いのか?

剣を借りたなら防具も借りれば良かったのに」

「鎧無しでも充分、ハンデと言う奴ですよ」

「後悔するなよ?」

「それはこちらの台詞です」

「所でアンタ、名前は?」

「グレートヒェンと言う者です」

「グレートヒェン・・・行方不明になっていたと聞いていたが・・・何故ここに?」

「ファウストの死体を集める為に」

「何の為に?」

「愛の為に」

「・・・・・良く分からんな、では行くぞ準備は良いか?」

「それはこちらの台詞です」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る