第88話【流浪の銃士は友を語る】

「アルフレートは甘い物が好きで果実酒を好んでいた

バルタザールは逆に辛い物が好きだった

辛いツマミにビールでやるのが至高だと言っていた

辛い物と言えばアルヌルフ、辛い米酒が好きだと言っていたなぁ

ヴォルフラムは赤ワイン、ヴィーラントは白ワインが好きだった

バルトロメウスは酒は呑めないがチーズを良く食べていた、良い喰いっぷりだった

フォルクマーは桃が食べたがったが旬じゃないと嘆いていた

ヴィンツェンツはスコッチを呑んではフラフラしていたが幸せそうだった

ループレヒトは故郷の白ソーセージが食べたがっていた

ディーデリヒ、コンラートはケバブの作り方で揉めていたが大好物だった

イーヴォは蒸留酒、ザームエルは白酒、リュディガーは焼酎

どれが旨いか揉めていたが結局混ぜて飲むのが旨いとか言ってた

彼等の好きな物を墓前に供えたいが墓は君が壊した


ヨハンネス、ヨハネスには双子で故郷に遺して来た幼馴染を気にかけていた

エルマーの父親は故郷での魔物での戦いで怪我を負い

息子も自分と同じ道を行った事を誇りに思っていた

ローベルトの義姉は何時もローベルトを心配していたし

ルドルフの母親も息子の帰りを待っていた

カールハインツの兄は結婚したばかりで

戦えない自分の代わりに戦う弟に感謝していた

レオポルトには結婚を約束した婚約者が居て

ジルヴェスターは帰ったら稼業を継ぐと言っていた

彼等を悼む者達が墓参りしたくても墓を壊されているから拝む事も出来ない


胡散臭い話し方をするアレクシスの姪っ子は美術の学校に通いたかった

生真面目なベネディクトの息子は料理人になりたかった

デニスの弟は兄の様な立派な武人になりたかった

エトガーの甥っ子は勉学に励み政治家になりたかった

不器用なトビアスの息子と器用なジギスヴァルトの娘は医者になりたかった

ダーヴィトの妹は病床に伏していたが戦後補償で優先的に医療を受けられていた

しかし君が遺族に対する補償を打ち切った事で

彼等、彼女等の人生は滅茶苦茶になった


エーベルハルトの兄、ラウレンツの親友、カーステンの婿養子、ユリアンの父親

ローレンツの叔父、メッツァーの祖父、ヨルクの甥

マンフレートの恩師、マルコの生徒、ルードルフの弟子、テーオドーアの教え子

お前の凶行を止める為にお前の手下に殺された人々だ

これら全てお前は何も知らなかっただろう?」

「・・・・・」

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