美少女モデルのAliceは今日も片想い

せりざわ。

第一部 兎ノ原アリス

Aの告白

「ちょっと耳かして」


 まだ少しざわつく教室で、隣の席のが手招きしてきた。

 仕方なく体を傾けると彼女は嬉しそうに笑って身を乗り出してきた。ぎゅむっと柔らかいものをこちらの腕に押し付けながら「あのね……」ともったいぶる。


「私、あなたに一目ぼれしたみたい」


「…………はっ?」


 思えばそれが彼女との奇妙な関係のはじまりだった。

 彼女――ミルクティー色の髪にターコイズの瞳を輝かせる現役高校生モデルのA――は、にこやかに微笑む。


「これからよろしくね、黒猫くん。いろいろと」


 モデルのA。またの名を炎上モデルのAlice《アリス》という。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る