魔女と熱烈ファン4
「……う、うーん…………はっ!」
「目が覚めたか?」
アンが目を覚ますと、そこには彼女の顔を覗き込むフレイの姿があった。
「あの……わたくし」
「大丈夫、落ち着けよ。ウチら二人とも生きてるよ。まあ、だいぶ流されちゃったけどね」
フレイは動揺するアンに笑顔を向けた。
「は、はあ……」
アンは呼吸を整えた。
「……フレイさん。その……助けて頂いて、ありがとうですわ」
今までのアンの態度からは想像できない言葉に、フレイは目を丸くした。
「な、なんですのその信じられないようなものを見る目は! わたくしがせっかくお礼を言って差し上げているというのに!」
「ご、ごめんごめん、ちょっとびっくりしちゃってさ」
フレイはそう言うと、ひと呼吸をおいた。
「なぁ、アンはどうしてウォルタのファンになったんだ?」
フレイが尋ねた。
「それは……一か月ほど前、わたくしの村が魔物に襲われたとき、村で暴れていた魔物を一人で退治してくださったのが、ウォルタ様だったのですわ」
「へぇ、そんなことがあったんだ」
「ええ。そのとき、直接お話はしなかったのですけど、魔物相手に立ち回るウォルタ様の姿が麗しくて、気づいたらファンになっていましたの」
「わかる、わかる。ウォルタってかっこいいもんな」
「わかってくれますの?」
「もちろん。ウチさ、森で行き倒れているところを、ウォルタに助けられたんだ。見ず知らずのウチにサンドイッチ分けてくれてさ。そんとき思ったんだ、こんなこと平然とできる奴ってかっこいいなって」
フレイはウォルタと初めてであったことを思い出して言った。
「だからウチはウォルタのギルドに入った。かっこいいあいつの力になりたいと思たんだ。今のアンと一緒でな」
フレイは笑顔でそう言った。
「ひ、人の気持ちを勝手に決めつけないでくれませんこと!」
アンは顔を真っ赤にして言った。
「ははは! ……さあ、いつまでもここにいてもしょうがない。ウォルタと合流しないとな」
フレイがそう言った次の瞬間、二人の頭上を再び大きな影が覆った。
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