二人の魔女3
ウォルタとフレイはポカの森の中を歩き続けていた。
「で、あなたの魔導具の剣はカバンとは別なのよね?」
「ああ、いつも腰に付けてたんだ。さっきのポカウルフは持っていなかったし、こっちは見つかりそうにないな」
「あっさりしてるわね。魔女にとって魔導具は必需品なのに」
ウォルタはため息をついた。
「しかし、さっきのウォルタかっこよかったよな。ウチ、銃の魔導具使いなんて初めて見たからさ」
「そう? 別に魔女の間じゃ珍しくないわ」
するとフレイは突然、立ち止まって言った。
「決めた! ウチ、ウォルタのギルドに入る! ダメか?」
「ダメ」
ウォルタは即答した。
「ガーン! なんでだよ一人より二人のほうが楽しいはずだ!」
「私は一人がいいの、今までも一人でやって来た。これからもそれは変わらないわ」
ウォルタはフレイを置いて先に歩き出した。
「あっ、ちょっと待ってよぉ!」
フレイはウォルの後を追って駆け出した。
そして、二人は森の最深部へと入って行くのだった。
「随分と深い所まで来たな」
より一層と生い茂った周りの樹木を見て、フレイは言った。
「ここからはいつポカツリーが現れてもおかしくないわ。注意して」
ウォルタはより警戒を強めた。
流石のフレイも周囲の異様な空気を察知したのか、身構えるようにして歩いた。
「ポカツリーはテリトリー内に自分の根を張っているわ。地面からその根が飛び出したら、奴が近くにいる証拠よ」
「いきなり出てくるのか? 心の準備のしようがないな」
「意外ね、あなたにもそんなものが必要なんて」
「失敬な! 意外と繊細なんだぞ」
フレイは口をとがらせた。
「そ、そう悪かったわね、とにかく気を付け……」
ウォルタがそう言いかけた次の瞬間、轟音と共に、地面を割って巨大な一本の木の根が二人の前に現れた。
「こ、こいつは!?」
「どうやらお出ましのようね」
そう言って魔法銃を構えようとしたウォルタの前にフレイ歩み出た。
「何よ?」
「ここはウチが」
そう言うとフレイは右手のひらから火の玉を生み出し、目の前の木の根目掛けて放った。
火の玉は命中し、木の根は炭となって崩れた。
「大したもんだろ、守られてばかりじゃないよ」
フレイはウォルタの方を振り返った。
しかし、その次の瞬間、彼女の背後に再び、巨大な木の根が大量に現れたのだった。
「ええ、大したものね、それ全部もお願いできるかしら?」
「……それはちょっと遠慮したいかな」
木の根は二人目掛けて襲い掛かった。
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