139  地下の洞窟Ⅴ

「それにしてもようやくここにたどり着いて、それを止める手段が見つからないか。さすが、魔法と錬金術の両方を会得した人物だ。天才の天才を通り越してやがる」



 デミトロフは、褒めたたえ落胆する。



 ハウロックもまた、天井を見上げたまま、そのまま床で大の字に寝る。



「デミトロフ、もしかすると、その地下の祭殿がこのレシピの隠し味になるんじゃないのか?」



「ああ……。俺もそう思った」



 デミトロフが小さく頷く。



「俺達の解読は大体八割は終わっているが、最後のこれがどうしても解き明かせない。お前がそういうようにエミリーが言っていた祭壇に行けば何かわかるのは確かだろうな」



「今から言ってみるか?」



「そうだな。時間もない、行くしかないだろう」



 デミトロフはハウロックの案に乗った。



「資料はここにおいて、早く移動しよう。誰かに見つかれば、元も子もない」



 デミトロフは立ち上がると、しわくちゃになった服をある程度整え、上からフードをかぶる。



 ハウロックも同じように上からフードをかぶり、二人は部屋を後にした。

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