101  氷の女王Ⅳ

 目はどちらともお互いに人を殺す目をしており、どちらかがやられるまでやるつもりだ。



「これは思っていたよりも凄いな。普通の学生では、まず、出来ない芸当だ。お互いにまだ、手の内を全て明かしていない」



「え⁉ あんなに凄いのにですか!」



「ああ。しっかり見ておけよ。あれくらいのレベルでなければ、例え、魔術師、錬金術師とはいえ、お前たちはすぐに死んでしまうだろうな」



「ええ、先生、厳しぃいい……」



「ははは、でも、それが現実だ。学生のうちは勉強だ。何事にも挑戦しろよ!」



「はーい」



 生徒たちは嫌々と返事をする。






 デミトロフとエミリーの戦いは、どちらとも神経を研ぎ澄まし、一振り、一振り、かわし、受け止めながら戦っている。



「意外とやりますね、ジョン」



「そりゃどうも。お前こそ剣一本で俺の攻撃を軽々と受け止めやがって、その上、至近距離の射撃はかわすだけでやっとなのに……」



「そうですか。ですが、ここで私はあなたを倒させていただきます」



 エミリーの目つきが変わる。



 何かが来る。



 そう、デミトロフは悟った。



 ――――ちっ、やはりここまでか……。仕方ない。ここは一度、退却するか。



 デミトロフは、後ろに飛びエミリーから距離を取る。



「ジョン。それは私から逃げるという事でいいですね?」



「ああ、逃げも一つの手段だ!」



「いい答えです。でも、逃しません‼」



「だと、思うだろ?」



 デミトロフは、服の懐から手榴弾に近いものを取り出した。



「なぁ!」



「じゃあーな」



 そう言って、地面に叩きつける。



 爆発して、光が演習場内に放たれ、視界を塞ぐ。



「くっ……」



 ――――やりますね。閃光弾ですか……。



 ――――流石に馬鹿ではないという事ですね……。

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