065  剣の魔導士とそこにあるものⅨ

 女が両手を合わせて男の髪を錬成させ、その後、女は自分の髪を錬成させた。



「お、お前ら! ど、どうしてここに……」



 黒髪の男と赤髪の少女に姿を変えた。



「ようやく気付いたようだな」



「気づくのが遅すぎますよ」



 男と少女はフッ、と笑って裕也を見た。




     ×     ×     ×




 数時間前――――



 三つ子たちが宿泊している施設の部屋では作戦会議が始まっていた。



「なんでわざわざ髪の色を変える必要があるのですか?」



 三久は総司の言われた通りに総司の髪の色を金髪に、三つ子全員の色を黒髪に錬成して染めていた。



「なんだか、変な感じよね。黒髪なんて今までしたことないから違和感があるって感じ?」



 一花は自分の髪の色を見ながら鏡を見ると、別人のように違う自分が映っていた。



 二葉は、自分の髪をじっと見つめながら何も反応しなかった。



 三人が髪を染めるのは初めてであり、魔法で髪の色を変えることは出来ないが、錬金術はその原子と物質さえあれば、髪を他の色に変えることができる。



 総司は金髪に染めて貰った自分の髪を右手で何度も触りながら感心していた。



「へぇ、金髪もなかなかいいな。似合ってる」



「自画自賛……」



 二葉そんな総司を見て、ポツリと言葉を漏らした。



「なんで髪を染める理由がいるのか? それはもう一度潜入捜査をするからだ。しかし、俺的には三人の綺麗な赤髪を染めるなんてしたくなかったが、これは仕方がない事なんだ。分かってくれ……」



「いや、最後の方の本音はいらないから……」



 総司が暑苦しく、一花は呆れて溜息をつきたくなるほどうんざりとする。



「ん、んん……。それでだ。俺と三久さんは軍服を着て、内部に潜入する。大丈夫、奴は軍との関わりは闇深い。それで一花さんと二葉さんには、外で待機してもらう。そうだな、二人には私服姿で待機してもらいたい。合図は、俺達が戦闘になった時だ。そして、戦いの場合は援護側に回ってくれ」



「だった、三久よりも私の方が戦闘に向いているじゃない! 私は攻撃型の魔法。それに比べて三久は錬金術よ。どう見ても逆じゃない!」

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