夜ぞふけにける 2
「あー……。そういや2人で毎晩ガヤガヤとうるさかったわ」
うんざりと言った俺に、カラカラと笑う。
「あいつ、不器用だしね」
「あ、やっぱそう思います? のわりに、ヒトの不器用さには全然容赦ねーしッ」
「そうそう。結構 『怒りんぼ』 だし」
「そう! いきなりビックリするくらい怒るでしょ。周りが迷惑だっての!」
クスクスと、心底楽しそうに笑ってくれる。
自分の 『カノジョ』 の悪口を言われてるってのに、庇おうともせず会話を楽しんでいる。
――『大物』 だ、この人は。
時折、そう思う。大袈裟じゃなく 『我儘』 な姉貴と付き合っていられる時点で、それは証明されている気がし た。
姉貴と同じ大学に通う潤一さんは、姉貴より2つ上の3回生だ。サークルが一緒だと聞いたが、どうやら姉貴 が潤一さん目当てに入ったようだった。
「右下左前、右下左前」
隣で、潤一さんが呪文のように唱える。
首を傾げて目を遣ると、又もや可笑しそうに微笑んだ潤一さんが、前を掛け合わせるような仕草をしてみせ る。
「コレ。間違えたら、死人になってしまうんだってさ。なんか大騒ぎだったよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます