第37話「魔女が12人いる……あってるか」


 RRRR……


 杏子あんこが『魔女LINK』に登録された。魔女はあと4人だ。


「あとは操る系魔女の4人だな」尾瀬子おせこが『魔女LINK』の会話で言った。


 杏子が魔理恵まりえから、もう投票が一回行われたと説明を受けている。やっぱり怒っているな杏子っ。


「まあ、良いでしょう。最初から参加できなかったのは、悔しいけど……。魔女ひとを騙すのは基本的に好きだから……前回の『山頂の城攻略戦』よりは楽しいわ!」


 前回の『山頂の城攻略戦』について少し触れておこう。


 魔女と賢者との戦いは、300年も続いている。12人の魔女が世界を好き放題したため、賢者が魔女を封印した。それが最初だった。今回の『魔女と賢者の人狼ゲーム』を始めるひとつ前の戦い。

 それが『山頂の城攻略戦(さんちょうのしろこうりゃくせん)』魔女の信奉者たちによる情報戦で、賢者の住まいを確定した。賢者の住まいはスイスの山奥のある『山頂の城』だった。魔女たちは、4方から取り囲むように城を攻めた。


北側からは、尾瀬子おせこ魔理恵まりえ久利須くりす

東側からは、アース・世梨奈せりな香梨奈かりな

南側からは、カーラー・スージー・杏子あんこ

西側からは、火室炉ひむろ左英さえ魔利有まりゅう


 同時に攻める計画だったが、功を焦った火室炉ひむろが、1時間前に城を攻めた。必然的に、3方ががら空きになり、賢者を逃がす事になった。


 尾瀬子はそれを怒った。そして今回、火室炉たちには、暴走を事前に知るため、スージーをスパイとして付けている。


 RRRR……

 RRRR……

 RRRR……

 RRRR……


「炎の魔女、火室炉ひむろ尾瀬子おせこ今回のゲームこそ勝とう!!」

「白き氷の魔女。左英さえ。火室炉? また尾瀬子に怒られるわよ」

「風の魔女、魔利有まりゅうです。火室炉、もっと成長しないと……」

「あの、スージーです。尾瀬子おせこさまっ」


「そして、魔女が12人揃った」


「ん? あってるよね? 12人……あってるか」

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