第24話「魔女が13人いる!」

 私は、フーリン(第2の尾瀬子)を人狼ゲームに参加させるために、演技することにした。

まるで自分たちが、賢者側のような──犯人側の心境になってくる。

(バレたら即封印……ドキドキ)


「お前少しアヤシイ動きしているぞ」

「そ、そう?」

 フーリンに指摘されてそこを改める──いや改めた気持ちになる。

 現在『魔女LINK』に登録された魔女は8人。


 久利須くりす尾瀬子おせこ魔理恵まりえ杏子あんこ・スージー・アース・カーラー

 そしてフーリンだ。


「賢者は尾瀬子おせこよ!!」と『人狼ゲーム』が始まってもいないのに『預言者カーラー』の嘘予言が炸裂している。コレにマトモに便乗する世梨奈せりな香梨奈かりなの『双子の魔女』や火室炉ひむろが登場していない。フーリンと話し合って順番を決めた甲斐があった。


 嘘予言が収束したころ、火室炉ひむろ魔利有まりゅう左英さえの操る系魔女が登場した。これで11人だ。


「魔女が『12人全員』集まったらって……どうやって賢者を捕獲するんだ?」火室炉が尾瀬子に質問する。

「その為に、久利須に『魔女LINK』を作ってもらった。コレで、魔女が集まることなく賢者を封印できるんだ!」

 そこでフーリンが尾瀬子によって紹介された。

「賢者と人狼ゲームをする。敗者は封印される。私たち『12人の魔女』が必ず勝つ!!」


 そこで『双子の魔女』が登場した。すぐに尾瀬子が気づいた。


「ちょっと待て!! 魔女が13人いるぞ」


「すでに賢者が紛れ混んでいるということだ」とフーリンが答える。


「「なになに? なんの話?」」『双子の魔女』はほっといて話しを続けた。


「さてこの中に、すでに賢者がいる。人狼ゲームだ賢者!! お前を炙りだして封印してやる!」


 尾瀬子はやる気十分だ。もう、フーリンが新しく参加した魔女だと気づいてさえいない。


「さてこれまでの会話でアヤシイ奴はいなかったか?」と尾瀬子の質問に……。


「『輪廻の魔女アース』がアヤシイ!」とフーリンが意外な魔女を指名した。


「おい正気か? 輪廻の力はゲームの行方によっては、必要になるかもしれねーぞ?」杏子が反論した。


「だからだよ。アースは、自分が『輪廻の魔女』なので、涼しい顔して魔女投票を真面目にやろうとしない。真剣に戦えよ!! アース」


「フフフ……。そうね、私もそろそろ真面目にゲームに参加したかったから──何度も輪廻してて、もう飽きたわ!」


「おい、アース。このゲーム。何度目だ!!」と尾瀬子の問いに……。


「もう10回以上よ。その後は数えていないわ……」と答えた。


「私たちは、賢者に勝ったのか?」


「一度も勝ってないわ。前回は、久利須に化けてたけれど……。今回は、違うみたいね。フフフ……」


 魔女投票は、久利須か? アースか? に絞られた。


「「ねえねえ──なんの話なのよ!!」」『双子の魔女』は、ハモってそう叫んだ。




 選挙結果が発表された。


 久利須が票を読み上げる。

「自分が投票されるのってなんか、イヤな感じ……。第1回目の魔女投票の結果。久利須、5票。アース、8票。よってアースが封印されるわ!」


「魔理恵頼む!」と尾瀬子。

「わかったわ。私の『身代わりの魔法』を行使するわ!!」

 そして魔理恵の愛人、高橋ミナトさんが、とばっちりで封印された。


「ちっ、最初の障害は、自分自身だったか……」スマホのマイクを切って、フーリンが呟いた。

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