第4話「双子」

 そう双子はやっかいだ。

桃「尾瀬子おせこかフーリンが怪しい」

苺「そうね、賢者と同じくらい強いし……」


 私がうっかり、双子が怪しいと言ってしまったのだ。


 経緯はこうだ。


 人狼ゲームの説明を終え、13人の魔女が『魔女LINK』に集った。



 『さてゲームの始まりだ』



空「私は預言者よ! 賢者は尾瀬子おせこよ!!」預言者カーラーのこの言葉からゲームは始まった。

青「ほう。私が賢者というなら、これで私たちは勝利するな? 良いだろう、まずは私を封印しろ!!」


 賢者の封印の能力は『魔女LINK』に紐付けられている。13人の魔女の投票で起動する。

今のこの会話で、私は1番に封印される危険性がある。


紫「まあ待て。このゲームは長期戦だ。私たちは魔女でそれぞれ特徴的な能力がある。それを思い出せ。賢者を検知する能力は、尾瀬子おせこが1番だ! 彼女を最初に消すのは良くない」

フーリンが援護してくれる。


黒「私も検知能力なら持っている。尾瀬子おせこは白だよ。賢者ではない。私は、まず『輪廻の魔女』アース様に、お話を聞かせてもらいたいね?」杏子あんこも援護射撃してくれた。


 みんな『輪廻の魔女』アースに注目が集まった。

灰「……今回で2度目よ。前回は、賢者に負けたわ。詳しく話すと歴史が変わるから、詳しくは言えない」アースはソレだけしか言わなかった。やはりアースは賢者の協力者なのか?


紫「私は前回の記憶を持っているわ。少なくとも私と尾瀬子おせこそれにアースは、封印しないで欲しい!」


桃「ふこーへーだわ!!」

苺「そうよそうよ! 私たちだって双子限定の能力を持っているわ」

桃「私たちは『魔女LINK』を介しても、自分たちが本物だと確信してる。私たちも封印しないでもらいたいわ!!」


(げー双子たちも残ってしまうのか? 日和見的な彼女たちの言動は、人狼ゲームにおいて、惑わす原因になる。早く封印されて欲しいものだ)


青「そう言う双子が怪しいのでは? ふたりのどちらかが賢者で、どちらかが協力者、の可能性もある」


 協力者という単語を私はうっかり使ってしまった。賢者ひとりを探し出す人狼ゲームが、より複雑になった。


桃「私たち双子が怪しいと言うなら、あなたたち最強ペアも怪しいわよ!!」

苺「最強ペアとは、尾瀬子おせことフーリン の事よ!!」


青「褒めていただきありがとう」

苺「褒めてないわっ!!」

橙「私たちは、双子を支持するよ!」


 炎と氷と風のいわゆる操る系の魔女が双子に賛同した。

柿「あのイケないわ。私たちより強い魔女には敬意を払わないと……」攻撃タイプの3人に唯一冷静な回復役の魔女『生命の魔女』スージーがなだめている。


 前回の攻城戦の時、攻撃タイプの魔女3人の監視役に、私が指名した。スージーは私の信奉者である。


空「私も双子ちゃんに賛同するわ。元々、私の予言だからね」

橙「これで7人集まった。過半数で尾瀬子おせこは封印だ!!」


 火室炉ひむろはどうだ! というように胸を反らす。


黄「それじゃ投票する?」

久利須くりすは自分の『魔女LINK』の新機能を使いたくてしょうがないのだ。



黄「投票結果は、苺に6標・青に4標・紫に2標・黒に1標だったわ」と久利須くりすがわくわくしながら言った。


苺「ええっ、わたしが封印?」双子の妹、香梨奈かりなが封印されることになった。


 苺色が点滅しながら消えていった。


青「やれやれ、封印されたようだ」

桃「あーん。香梨奈かりなー。誰よ−フーリンに入れたの!! 最初は尾瀬子おせこでしょ?」

紫「私に個人的に恨みを持つものが、ふたり居たということか? 後で調べてみよう」


 投票したふたりは『魔女LINK』の前でぶるるっと震えた。


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