満願成就(第十二回 お題「願い」)
起床するなり窓の外を見て、願いが叶ったことを知る。
朝食もそこそこに、大急ぎで出かけた。
のんびりしている暇なんてない。
次の紅葉は見られないと言われていたおばあちゃんに、この紅葉を少しでも早く見せてあげたい。
歩道や屋根や植え込みの白く硬い降雪の上に、少しも濡れていない黄色や紅の葉が積もっている。
こうしている間にも、その嵩は増してゆく。
急がないと。
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