現代社会から転生してきた奴の定番アドバンテージ 専門知識・スマホ・その他なんかチート的アイテム

 だいたいさ、現代社会から転生してきたなら、スマホ持ってるとか、銃や暗視スコープを装備してるとか、化学や軍事の専門知識があるとか、そういう定番のアドバンテージってもんがあるだろう。

 なのに俺ときたら、底辺校のなかでもさらに底辺層で、Fランも全滅余裕で、唯一ある知識なんてアニメぐらいだ。それさえもネット上で、にわかレベルと煽られ叩かれる始末。あやとりと昼寝並にクソの役にもたたない。マジでなんの強みもないとかどうすんだよこれ。

 少し強めの風が通りすぎて、草たちが、ざああ、とこたえた。知るかバカってか。


 わかった、あれだ、中盤辺りで秘められた力が覚醒して、そこから勇者の伝説が幕開く的な展開、それだろ? 

 あームリムリ。そこまでたどり着く前にくたばる自信しかない。てか、そもそもこのクソ初期パラメーターで放り出す辺り、覚醒みたいなイベントなんてぜってーねーわ。へたしたら、いい感じまでレベルアップしたところで、なんの脈絡もなしにいきなり初期状態に戻されたりしかねない。あのクソ神はそういうことを平気でやりそうだ。


 ぶつくさ不平をたれながらも、俺は満天の星空に見入っていた。

 頭の上で盛大にぶちまけられて輝く、意味がわからない量の光の粒よ。文字どおりの星の数。プラネタリウム土下座余裕だ。星を数えるだけのかんたんなおしごとです、ってやらされたら五分で吐く自信があるわ。

 こういう絶景こそスマホの出番だろ。あれ一台あるだけでだいぶ冒険が楽になる。たとえば……………………まあ、ちょっとすぐ思いつかねーけど。とにかくいろいろできるからっ。スマホは万能だからな。

 あの自称神はそこんところがわかってない。ジジイの声だったからスマホとか使えない世代なんだよ。せいぜい、ら◯らくホンぐらいだろう。ったく、これだから老害は。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る