分析が簡単なのはエンタメ小説!

前回、配慮をした文章をいくらか入れました。


たとえば、

同じ語を繰り返し用いる(語彙を多くしない)ことについて、


『これを良しとする作者もいれば、

センスの無い表現と断ずる作者もいると思います。』


と書いたところですね。



ここ、大事なところだと思っています。


ウェブ小説って、あくまで趣味で書いているものですから、

人によって書く動機って全然違うじゃないですか。


だから指摘やアドバイスって、凄く難しいことだと思うんですよ。

Aさんにとっては重要なアドバイスが、

Bさんにはむしろ逆効果ということだってあり得ます。



この点については私も色々悩んだことがありまして、

話せばきりがないんですけども。


とりあえず計量テキスト分析に直接関係あることを言うと、


素人がする計量テキスト分析の場合、

エンタメ小説の方が分析しやすいよ。


ってことです。



KH Coderで簡単に結果を出せることを重視すると、

・単語の登場回数をチェックしたい作品

であれば、分析がしやすいと言えます。



単語の登場回数を見るというのは、

たとえばキャラクター重視の小説です。

これなら、

「人気を出したいキャラが本当に目立てているの?」

ってことを、名前の登場回数で調べることが可能です。



物語のテーマをはっきり決めて書いたのなら、

まずテーマに関する作中の言葉をリスト化します。


「愛す」「好き」「恋」

みたいな言葉をピックアップして、恋愛ものになっているかチェックする。

というような手順になります。


実際の分析で使うのは、上記のような一般的な単語とは限りません。

作者が意識的に用いていた語を選んでいきます。


ともかく、作者本人が調べるのであれば、

その作品において重要な言葉がよくわかっているはずなので、

単語のピックアップは簡単に行えるはずです。



上記のような出現回数・出現率については、

各話ごとに数えることができます。


なので、このキャラは序盤によく出ているけど終盤は全然だな、とか。

テーマに関係する大事な言葉が序盤に全然出ていなかったな、とか。

そういうチェックができます。


(一応、KH Coderに読み込ませるデータを編集することで、様々な区切り方をできます。でも一番簡単なのは、カクヨムで公開しているとおりのエピソードの区切り方です)



要するに、

「自分の狙いどおり、プロットどおりの物語が書けていたか?」

を単語の出現回数でチェックできる作品なら、簡単に分析できるんですね。


分析とかそういうのを関係なしに、

「愛」という単語がやたらたくさん出てくる小説だったら、

その小説は「愛」がテーマなんだなと読者は思いますよね。


ですから、

たくさん出ている=それがテーマだと読者に伝わる

と考えられます。


だとすれば、

「読者にこう伝えたい・こう感じてほしい」ということがきちんと伝わっているか?

は、登場回数を調べれば、ある程度は推測できます。


こういった理屈があるので、

私はエンタメ小説の方が分析しやすいと思っています。

キャラの魅力を最重要視した作品なら、キャラの名前をチェックすればいいです。

そんな感じで、単純な分析でチェックできる傾向にあるんじゃないかなって。



反対に純文学と言いますか、

エンタメ性そっちのけで、完全に我が道を行くぜというタイプは、難しそうです。

「どんな言葉を分析の対象にすればいいんだ?」と悩みやすいかもしれません。


テーマと言うよりも、描写しているシーンそのものがテーマという方もいるはずです。



数年前の私の話なんですけど、

「大事なことを明言したくない。行間で感じ取ってほしい」

と考えていたことがありました。


こういう小説は、分析に使う単語が見つけにくいです。


無理ではないんですけれども、

普通のエンタメ小説と比べると難しくなります。

手間も増えます。


その上、私の「行間で感じ取ってほしい」は、

実際には読者にかなり伝わりにくい出来でした。無念!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る