20190128:独楽・猫・火葬/蛇足

『シュレーディンガーの猫』は物理学の思考実験の中でも有名なものの一つだろう。原子の崩壊が起こると毒ガスが発生する。箱の中には猫がいて、毒ガスを吸い込めば死んでしまう。原子の崩壊は確率的に発生するが、観測しなければ発生したかどうかが決定しない。観測しなければ、猫の生死はわからない。生きてもいる。そして死んでもいる。生死という反する状態の重ね合わせ。

 外界からは箱の中の状態はわからない。箱の中は観測されない。箱と外とは不干渉の状態ともいえ、極論、『箱の中は別世界』である。

 外から見れば猫は生きてもいて死んでもいるが、箱の中の猫にしても、外の世界とは『生きている自分がいる世界』と『死んでいる自分がいるべき世界』の重ね合わせといえる。箱と外、二つ世界がある場合の、観測者の立ち位置がどちらにあるか。


 太陽はいつか内部の燃料を使い切ると膨張肥大し、太陽系の惑星を飲み込むと想定される(はずだ) どこまで飲み込まれる計算だったか、思い出せても調べられてもいないが、何十億年も未来で、地球は地球でなくなる。太陽という炉に入る。


 地球独楽は、ジャイロの特性を見るためのおもちゃ。回転している限り倒れない、一定の方向を向き続ける(状態を保持し続ける)という特性がある。

 ジャイロは古くは船の位置測定などにも使われたが、現在はGPSに取って代わられているだろう。ここは調べていない。

 ちなみに、空気抵抗、台との摩擦抵抗がなければ、独楽は延々回り続ける。


 話戻って、箱の中の猫は外がどうなっているかを知るすべはない。観測してしまえば決まる。観測しない状態では、ただ想像するしかない。

 太陽に飲み込まれ消える瞬間かもしれない。地球の自転が止まって地球独楽も止まってしまうかもしれない。外界から見て生死の重ね合わせ状態の猫は、外界が無事かどうかを同じく想像しているのかもしれない。

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