頑張りどころ

「ガラスのような氷を渡り前方に見えたるはツララの塔、小粒のような人々がツルハシ持ちてカンカンカン、されどそこを攻めたれば粒はライオンの如き戦士に変わり氷の砲弾ツララガンをしりぞけた、さてはて氷のドラゴンはどうするか…ふむ!素晴らしい!ツララガンを倒された!」


ポーンは味方が減っていくのにやたら余裕だ。ツララガンはほとんど他の氷鉱夫と共に倒した。もしかしてまだ策が残っているのだろうか。


「次はコオリドラゴンだ!全員突撃!」


キャンプのリーダーがそう叫ぶと足止めしていたコオリドラゴンに飛びかかった。コオリドラゴンは強靭な鱗を持ち、並大抵の刃ではヒビすら入らない。しかしこちらの方が手数は多い。だから数で押すのだ。


「ミル!ノルダ!スパートだ、いこ」


ここまでいって背後から何かを感じた。このままコオリドラゴンに突っ込むのはまずい。そう感じて俺はミルとノルダの服を掴んで引き戻した。


「察しのいい少年もいたものだ」


直後ポーンが懐からキューブを取り出してコオリドラゴンに飛び交かる氷鉱夫の集団に投げ込んだ。直後そのキューブから轟音が発せられた。


一瞬意識が飛ぶような感覚に襲われた。耳が痛い、思わず目を瞑った。そしてコオリドラゴンはその隙をついて尻尾で氷鉱夫をないでしまう。ツルハシのガードの反応が轟音で遅れ多くの氷鉱夫は倒れ込んだ。


「わたくし、サポートしていきますよ!」


ポーンは引き続きさまざまなキューブを取り出し氷鉱夫に投げつける。匂い弾、音弾妨害の見本市だ。気づけば氷鉱夫は半数になっていた。


「わたくしたち流氷…戦闘特化のプロ集団!採掘のついでに戦ってる氷鉱夫には負けませんぞ」


ニヤリとポーンは笑ってコオリドラゴンと共にじりじり寄ってきた。その時ポッという音がした。ポーンの持っていた通信機のようなものが繋がったらしい。


「はいはいこちらポーン…ほお?そっちが?なるほど了解」


通信機を顔から離すとポーンは先ほどの余裕の表情から真剣な顔に変わった。



「そちらの氷鉱夫も…なかなかやるようですね」


それだけ言って再びポーンは音のキューブをこちらへ投げつける。次に轟音、くると分かっていても目を細め、姿勢が低くなってしまう。そしてコオリドラゴンたちは襲ってきた。



「ここを耐えるんだ!多分どこかで氷鉱夫が戦闘に勝ったんだ!」


「なるほど、マインの言う通りかもね!」


多分いろんなところで氷鉱夫と流氷の戦闘が起きている。どこかの戦いで氷鉱夫が勝てばその戦力が他にピンチのところに来れるだろう。だからポーンは急に態度を変えて勝負を決めにきたのだと考えられる。味方の戦力が減り、流氷を負かした氷鉱夫がこちらに手助けしにくる、その可能性に気づいたのだ。


コオリドラゴンはあと4体、二体は激しいブレスをこちらへと放つ。思わずこちらの陣形が崩れてそこに残りのコオリドラゴンが爪で斬撃、牙で攻撃をしてくる。


「まず一体!やるぞミル、ノルダ!」


「了解…!」


ミルはツルハシを盾のようにし、姿勢を下げた。直後ミルの重突進が始まる。俺はミルの後ろにピッタリついて接近した時に見るの横に飛び出した。


「ミル…俺がもっと強くなれたら盾になるよ…!ふんっっっっ!!!」


「待ってますよ…はッッッ!!」


二つの衝撃に押されてコオリドラゴンはノックバックする。だがまだ倒せていない、追撃を行う。今までよりもっと強く、早くだ。


「氷鉱夫体術!ビートアタック!!」


寒さからくる震え、それを腕に、そしてツルハシに伝えていく。ツルハシは小刻みに震え掃除機のような音を立て始めた。腕を後ろに引き、ツルハシをスイング。ビートアタックはコオリドラゴンの硬い鱗をも砕く勢いだ。


無論コオリドラゴンは反撃に出ようとするが頼りになるノルダが牽制により阻止した。





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