テイクアウト

あなたが帰宅途中に買って飲んだ

おしゃれなカフェのテイクアウト用カップが

コーヒーの香りを漂わせて

ゴミ箱の一番上に転がっている


私はその店に行ったことがない

コーヒーもお茶も家で飲む


さっそくカップを拾い出してきれいに洗う

その中に

いつもより真面目にカフェオレを淹れて

ひまわりの蜂蜜もひとさじ入れる


蓋をかぱっと被せて

飲み口の小さな穴からちまちま飲むと

いつもの味がちょっとだけキマッた気がする


台所でこっそり飲んでいる私を

あなたが見つけて呆れた顔をする


私のことはゴミを漁る野良猫だと思ってよ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る